新卒で就職活動をしている人が必ず作成しなければならないのが、志望動機です。志望動機はほかの応募者との差別化を図る意味でも、重要なアピールポイントといえます。
しかしその一方で「志望動機の書き方がわからない」「企業が注目している志望動機のポイントが知りたい」といった疑問・悩みを抱えている人が少なくありません。
本記事では、新卒就活生向けに志望動機の書き方について解説します。企業が見ているポイント・構成の仕方・注意点なども含めて網羅的に紹介するので、ぜひ参考にしてください。
志望動機はどのように書いたらいい?
新卒で就職活動中の人のなかには、志望動機で悩む人が少なくありません。どのようなポイントに注目して書けばよいのかわからず、内容が抽象的になりがちです。
志望動機はほかの応募者との差別化を図るためにも、より具体的に書くことをおすすめします。その際に重視するのが、企業ならではの理由です。次の項目で掘り下げて解説するので、参考にしてください。
企業ならではの理由を書く
企業研究を徹底し、貴社ならではの強みや特性を深く理解することが重要です。フォーカスするポイントとして、以下のようなものがあげられます。
・OB・OG訪問やインターンシップで得た具体的な経験
・企業文化への共感
・特定の製品やサービスへの熱意
あなたの入社への強い意欲と、入社後に貴社で活躍する姿を具体的にアピールできるでしょう。


志望動機で企業が見ている3つのポイント
志望動機で企業が見ているポイントについて紹介します。
入社意欲の強さ
入社意欲の強さは、企業が志望動機で重視するポイントのひとつです。
これは単に「入社したい」という気持ちだけは不十分です。「なぜ当社なのか」「入社後、どのように貢献したいのか」という、具体的なビジョンがあるかが問われます。
企業研究を徹底して行いましょう。OB・OG訪問やインターンシップで得た情報に基づき、企業文化や事業内容への理解度を示すことが重要です。
また自身のスキルや経験が企業の求める人物像と合致している点も、具体的にアピールしてください。入社後の活躍イメージを採用担当者に抱かせることで、強い入社意欲を伝えられます。
就活生と企業との共通ビジョン
就活生と企業との共通ビジョンも、企業が志望動機を通じて確認するポイントといえるでしょう。
単に企業の理念をなぞるだけでは、十分とはいえません。これまで培ってきた経験や価値観がどのように企業のビジョンと重なり、将来的に貢献できるかを具体的に示すことが重要です。
これにより、入社後の活躍イメージを採用担当者に明確に伝えられます。
入社後の活躍の可能性
入社後の活躍の可能性も、企業が志望動機を通じてチェックする内容です。
企業は応募者が入社後にどのような価値を発揮し、どのように貢献できるのかを具体的に見ています。これまでの学業やインターンシップなどで培ったスキルや経験が、入社後にどのように活かせるのかを明確に伝えましょう。
具体的な職種や業務内容に触れながら、自身の強みが企業でどう役立つかをアピールすることが重要です。企業はあなたの入社後の活躍を具体的にイメージできます。
・共通ビジョン:自分の価値観と企業のビジョンの重なりを示す
・活躍の可能性:具体的なスキルと業務内容を結びつける
魅力的な志望動機の文章を書くには
魅力的な志望動機の文章を書く方法を紹介します。
内容は具体的に書く
志望動機では、具体性が非常に重要です。抽象的な表現は、採用担当者の心に響きません。
入社後に「何を」「どう貢献したいか」を具体的に示しましょう。入社後の活躍を、明確にイメージできる書き方が効果的です。
過去の経験や実績は、具体的なエピソードを交えてください。STARメソッド(状況・課題・行動・結果)を活用すると説得力が増します。
「なぜこの企業か」を明確にするため、企業への深い理解を示しましょう。事業内容・企業文化・製品・サービスといった具体的な要素で表現すると、採用担当者に熱意が伝わりやすくなるでしょう。
入社後のキャリアパスや目標を具体的に記述することも有効です。自身の成長意欲と、企業への長期的な貢献意欲を示しましょう。
これらの点を踏まえて自身の言葉で具体的に表現することで、採用担当者に「この人が欲しい」と思わせる志望動機が書けるでしょう。
自分についてしっかり語る
魅力的な志望動機には、自分自身を具体的に語ることが不可欠です。単なる経験の羅列ではなく、それが企業とどう結びつくのかを明確に示しましょう。
まず、強みやスキルを企業が求める人物像や業務内容と関連付けて説明してください。例を活用するなどして、具体的に結びつけると効果的です。
次に、経験や実績を具体的なエピソードで裏付けましょう。課題・行動・結果を明確にすることで、説得力が増します。
また、価値観や情熱を伝えることも重要です。企業文化や目指す方向性への共感を表現することで、人間性や企業への熱意が伝わります。
これらを通じてその企業でどのように活躍して貢献できるのかを具体的に示せると、採用担当者に「この人を採用したい」と思わせる志望動機になるでしょう。
企業が押さえて欲しいポイントを見抜く
魅力的な志望動機には、企業が何を求めているかを見抜く力が不可欠です。企業のニーズを理解し、それに合致する形で自分をアピールしましょう。
まず、企業研究を徹底してください。特に、企業が直面している課題や、力を入れている分野に注目しましょう。
次に、見抜いたポイントと経験やスキルを接続します。企業が求める能力や解決したい課題に対し、どう貢献できるのかを具体的に示すことがポイントです。
さらに、企業の文化や働き方への理解も示せると良いでしょう。単なる能力だけでなく、企業風土への適応力もアピールしてください。
企業が必要性を明確に感じられるように相手の視点に立って志望動機を作成することが、内定への鍵となります。


志望動機の構成の仕方
志望動機に、明確な文字数制限は設けられていないことが一般的です。しかし短すぎると伝えきれず、長すぎると冗長的になってしまいます。
正確な文字数は決まっていませんが、一般的には200〜300文字程度と考えておくとよいでしょう。
これを踏まえたうえで、志望動機の構成の仕方について解説します。
書き出し
志望動機の書き出しは、採用担当者の目を引く最重要ポイントです。ここでは、なぜその企業に入社したいのか、その最大の理由を簡潔に伝えましょう。
企業の魅力と貢献意図を明確に示します。これにより読み手は熱意と、続く内容への期待感を持ちやすくなります。具体的な事業や製品名とともに自身の強みを冒頭で示すことで、入社への強い意欲を効果的にアピールできます。
本文
志望動機の本文では、あなたが企業でどう活躍できるかを具体的に述べましょう。まず具体的な経験やスキルが、応募企業のどのような業務や課題に活かせるかを明確にします。
次に、その貢献が企業にどのようなメリットをもたらすかを示してください。入社後の具体的な成果をイメージさせると効果的です。
単なる過去の経験の羅列では、十分とはいえません。それが応募企業でどのように活かせるかに焦点を当て、企業にとって不可欠であることを示してください。
貢献意欲と入社後のビジョンを具体的に伝えることで、採用担当者は入社後の姿を想像しやすくなります。
締め
志望動機の締めでは、入社への熱意と将来の貢献意欲を力強く伝えます。
これまでの内容を踏まえ、具体的な役割と貢献目標を簡潔に述べましょう。
そして、入社後の意欲と覚悟を明確に示します。単なる意欲だけでなく、具体的にどう貢献するのかという決意を伝えることが重要です。
最後に、次のステップへの希望を伝えます。これにより採用担当者に良い印象を残し、面接へとつなげられるでしょう。
・書き出し:志望理由を簡潔に(なぜその企業なのか)
・本文:具体的な経験とスキル、貢献方法
・締め:入社への熱意と決意
志望動機の書き出しの3つのポイント
志望動機の書き出しのポイントを3つ紹介します。
結論ファーストで書く
志望動機は、結論ファーストで書き出しましょう。採用担当者は、日々多くのエントリーシートに目を通しているからです。最初の数行で要点が盛り込まれているかが、読み進めてもらえるかどうかの分かれ道となります。
まず、その企業に魅力を感じた点を明確に書きましょう。漠然とした憧れだけでは、意図・思いはくみ取ってもらえません。具体的な理由をあげて、伝える必要があります。
これらの要素の中から「この会社で働きたい」と強く思った理由を選び、簡潔に述べることが肝心です。
これにより採用担当者は企業を深く理解していること、その企業で働く明確な意志があることを瞬時に把握できるでしょう。
入社意欲の高さを書く
志望動機の書き出しでは、入社意欲の高さを明確に伝えることも重要です。採用担当者は、応募者がどれだけ本気でその会社で働きたいと思っているのかを知りたがっています。
単に「貴社で働きたい」と述べるだけでは、十分とはいえません。なぜその会社でなければならないのか、その具体的な理由を冒頭で提示しましょう。企業の特定の側面に惹かれたことを示し、それが自身の能力とどう結びつくかを簡潔に述べると効果的です。
また、単なる興味だけでは熱意は伝わりません。企業が求める人物像やビジョンと、自身のキャリアプランを重ね合わせることがポイントです。入社意欲が単なる憧れではなく、具体的な貢献への意欲に基づいていることをアピールできます。
このような意思表示が、採用担当者の目を引き、続きを読んでもらうための第一歩となるでしょう。
自分の個性を書く
志望動機の書き出しで個性を表現することは、記憶に残るために重要です。単なるスキルだけでなく、個性で企業に理解してもらいましょう。
個性をアピールする際は、それが応募企業や職種とどう関連するかを明確にします。特性を挙げ、企業文化へのフィット感をアピールしてください。
例えば、ユニークな視点や、趣味から得た学びを簡潔に盛り込めます。一見関係なさそうな個性も、関連付ければ強みになります。
個性が企業にもたらす価値を伝えることで、採用担当者は応募者が組織に新しい風を吹き込む存在だと認識し、興味を持つでしょう。
・結論を最初に持ってくる
・具体的な理由を明確に
・自分らしさを織り交ぜる
・読み手の興味を引く工夫をする
志望動機を書く上での注意点
志望動機を書く際の注意点について確認していきます。
誤字脱字に気をつける
どんなに魅力的な内容でも、誤字脱字があるだけで「確認不足」や「注意力散漫」というマイナス評価につながります。
提出前には必ず複数回読み返し、句読点の抜けや漢字の間違いがないか細部まで確認してください。
可能であれば、友人や家族など第三者にもチェックしてもらうとより確実です。完璧な文章で、真剣な気持ちを伝えましょう。
抽象的な表現は避ける
志望動機では、抽象的な表現は避けてください。意欲・熱意が採用担当者に伝わりにくくなるからです。
志望動機を作成する際は、具体的に書きましょう。明確に述べることで、採用担当者は応募者がどのように企業で活躍できるか想像しやすくなります。具体的な例・事象・言葉を使い、熱意と理解度を強く伝えましょう。
「こそあど言葉」を多用しない
志望動機では、「これ」「それ」「あれ」「どれ」といった指示語の多用は避けましょう。指示語ばかりでは何を指しているのか不明瞭になり、意図が正確に伝わりません。
具体的に企業名・事業内容・自身の経験・スキルなど、具体的に明記することが重要です。説得力が増し、採用担当者も内容をスムーズに理解できます。
志望動機を作成する際は、常に具体的な名詞や動詞を使うことを心がけてください。
条件や待遇面を志望理由にしている
企業は、応募者が「会社に何をもたらせるか」を知りたいと考えています。待遇面を強調すると、貢献意欲よりも個人の利益を優先していると受け取られかねません。
条件や待遇面の代わりに、企業の事業内容・ビジョン・仕事内容への興味などを志望動機として取り上げましょう。入社後に会社へ貢献できる意欲を、具体的に伝えてください。


志望動機が思いつかない場合
志望動機が思いつかないことは、誰にでもあります。その場合の見つけ方・対処方法をいくつか紹介するので、参考にしてください。
自分について深めてみる
志望動機が思いつかない時は、自分自身を深く掘り下げてみましょう。以下のような点に着目して、具体的に書き出してみてください。
・これまでの経験
・スキル
・得意なこと
・苦手なこと
・何をしている時に最も喜びを感じるか
・どんなことに興味を持つか
これらの自己分析を通じて、以下のような部分が明確になります。
・何をしたいのか
・どんな環境で働きたいのか
・どんな価値観を大切にしているのか
上記は具体的な企業や仕事を選ぶうえでの軸となり、納得できる志望動機へとつながるでしょう。
企業について深めてみる
志望動機が見つからない時は、企業について深く掘り下げる方法も有効です。
まず以下のようなものを活用して、応募したい企業を徹底的に調べましょう。
・企業のウェブサイト
・ニュース
・プレスリリース
・SNS
・投資家向け情報(IR)
上記のようなものを活用して、どのような点を調べればよいのかわからない人もいるかもしれません。その場合は、以下のポイントにフォーカスしてみてください。
・企業の事業内容
・企業理念
・ビジョン
・社会における役割
・どのような製品やサービスを提供しているのか
・どんな課題解決を目指しているのか
・どんな企業文化なのか
「なぜこの企業で働きたいのか」という具体的な理由が見つかりやすくなるでしょう。
内定者のESを見る
内定者のESを見ることも、有効な方法です。内定者のESは、以下のような方法で閲覧できます。
・就職活動サイトで公開されているESを確認
・同じ業界に入社した先輩のESを見せてもらう
閲覧することでどのようなメリットがあるのかについては、以下の見出しで解説するので参考にしてください。
企業ごとに”うける”書き方がわかる
内定者のESを見ることで、企業ごとの「うける」書き方がわかります。
企業文化や求める人物像に合わせた表現、特に評価されるキーワードやエピソードの傾向を把握できるでしょう。
漠然とした志望動機ではなく、その企業に響く具体的なアプローチで自身の強みや熱意を効果的に伝えられるようになります。
“自分の型”に落とし込める
内定者のESは、単なる例文集ではありません。
彼らの思考プロセスや、企業が求める要素をどう表現しているかを徹底して読み解きましょう。それを自分の型に落とし込むヒントが得られます。
特定の経験をどのように深掘りして企業のニーズに結びつけているかなど、具体的な構成や表現方法を学んでください。自分自身の個性や強みを、効果的にアピールするフレームワークを構築できるでしょう。
志望動機のテンプレート5選
志望動機を作成する際のポイント、注意点などを解説してきました。しかし「具体的なイメージがわかない」「自分の志望動機作成に落とし込めない」といった人もいるでしょう。
そこで、さまざまなケースを想定した志望動機のテンプレートを紹介します。独自の志望動機を作成する際の参考にしてください。
企業理念に惹かれた場合
サービス内容に惹かれた場合
業務内容に惹かれた場合
事業のビジョンに惹かれた場合
社員に惹かれた場合


まとめ
新卒就活生向けの志望動機の作成方法について解説しました。
志望動機は、入社を希望する企業に自身の能力を売り込むための重要な要素です。ほかの応募者との差別化を図るためにも、オリジナリティあふれる魅力的なものにしなければなりません。しかし、志望動機作成に慣れていない人にとっては容易なことではないでしょう。
本記事で紹介した企業側のチェックポイント、注意点、構成の仕方などを参考にして、採用担当者の気持ちを引き付ける志望動機を作成してください。
