
企業と社会をつなぐ架け橋として注目を集める広報職。メディア対応やSNS運用、イベント企画など、多彩な業務を担当できる魅力的な職種として、新卒から目指す学生も増えています。
しかし「広報になるには何をすればいいの?」「どんなスキルが求められるの?」と疑問を抱える方も多いのではないでしょうか。本記事では、新卒から広報を目指す方に向けて、広報職の仕事内容から必要なスキル、効果的な志望動機の作り方まで、広報への道のりを徹底解説します。
新卒で広報になれるの?
新卒で広報職に就くことは決して不可能ではありませんが、難易度は高いのが現実です。広報は企業の顔として重要な役割を担うため、多くの企業では経験豊富な人材を求める傾向があります。大企業では広報部門に数名の新卒採用枠を設けることもありますが、競争率は非常に高くなります。
一方でベンチャー企業や中小企業では広報専任者を1人しか置かないケースが多く、他業務との兼任を求められることもあります。そのため新卒には幅広いスキルが要求されるでしょう。広報職を目指す場合は、学生時代からコミュニケーション能力やライティングスキルを磨いておくことが重要になります。


広報の仕事内容
広報の仕事は社内向けと社外向けの二つに大きく分けられます。それぞれの業務内容には特徴があり求められるスキルも異なります。社内外の両方で活躍できる広報担当者になるためには幅広い知識と経験が必要となるでしょう。
社内広報
社内広報は従業員の一体感とモチベーション向上を促進する重要な役割を担っています。社内報の発行では各部署の取り組みや情報を共有するだけでなく社員の個人的な一面も紹介することでコミュニケーションを活性化します。
効果的な社内報制作には社員の興味関心をリサーチし読まれる企画を立案することが不可欠です。また従業員の家族向けコンテンツも企業への理解を深める役割を果たします。
社内イベントの企画・運営も企業全体の一体感を高める有効な手段となります。総会やシャッフルランチなど目的に応じた多様なイベントを通じて部署間交流を促進することができます。
さらに外部評価や業界動向などの情報を社内共有することで従業員の誇りを高め他部署の業務にも貢献します。
社外広報
企業の広報活動の主な使命は、企業の情報を広く社会に伝え、ブランドの認知度やイメージの向上に寄与することです。その中核をなすのが、プレスリリースの作成と配信です。これにより、企業の新商品や経営方針などを積極的に外部にアピールし、メディアに取り上げられることで、企業の知名度や信頼度を高める狙いがあります。
さらに、広報担当者はPRイベントを企画し、企業の魅力を効果的に伝えるための詳細な準備を行います。招待リストの作成や開催日程の調整、さらにはメディアや関係者とのコミュニケーションなど、多岐にわたる役割を担います。
加えて、企業のSNSやウェブサイトの運営も重要なポイントです。定期的に最新情報を発信し、顧客や取引先との直接的な交流を深めることで、企業のプレゼンスを一層高めることに繋がります。
広報と間違えやすい職業との違い
広報の仕事と似ている職業はありますが、目的や手法が異なります。その違いを理解することは、職業選択や役割の明確化に役立ちます。ここでは、広報と間違えやすい職業の中で、特に重要な2つについて解説します。
広報と広告代理店の違い
広報と広告代理店は情報発信を行う点では共通していますが、その方法と目的に大きな違いがあります。広報はメディアリレーションを活用して企業情報を伝え、社会との良好な関係構築を目指します。費用をかけずに第三者の視点から情報を発信することで信頼性を高めることができます。
一方、広告代理店は企業が費用を支払って広告媒体に情報を掲載します。商品やサービスの認知度向上や販売促進が主な目的となります。企業が直接的にメッセージをコントロールできる点が特徴です。
広報とマーケティングの違い
広報とマーケティングはどちらも企業活動において不可欠な役割を担っていますが、アプローチが異なります。広報は企業やブランドの認知度向上とイメージアップを図り、社会全体との良好な関係構築を目指します。長期的な視点でブランド価値を高める活動といえるでしょう。
マーケティングは市場調査に基づいて顧客ニーズを分析し、商品やサービスの販売促進や売上向上を目的としています。より直接的に売上に貢献する活動と言えます。


広報に向いている新卒の特徴
新卒で広報職を目指す方が増えています。企業のイメージや評判を守り育てる広報部門は、組織にとって非常に重要な役割を担っています。しかし、広報の仕事は多岐にわたるため、向き不向きがはっきりと分かれる傾向があります。
特に新卒の方が広報職に就く場合、どのような資質や特性が求められるのでしょうか。ここでは広報職に向いている新卒の特徴について詳しく解説します。自分の適性を知ることで、キャリア選択の参考にしていただければ幸いです。
人と関わりながら仕事をしたい
広報の仕事は、多くの人と密接に関わることが求められるのが特徴です。社内では経営層や各部署のメンバーと連携しながら、社外ではメディアや関係者と積極的にコミュニケーションを図ります。このように、多様なステークホルダーとの関係を築くことが、日々の業務の中で自然と必要となるため、人と交流するのが好きな人には特に向いている職種です。
優れた社交性や積極的な対人コミュニケーションスキルは、広報のキャリアを築く上で大きな武器となります。さらに、信頼関係を築き上げる力も不可欠です。ささいな会話の中から重要な情報をキャッチしたり、相手の本音を引き出したりといったスキルも求められます。
加えて、業界団体や広報に関わるコミュニティへの参加も仕事の一部です。こうした場で新たな人脈を広げることができれば、情報収集力も自然と向上します。行動的で人と積極的に関わる姿勢を持つ人は、広報の分野で一層の活躍が期待できるでしょう。
トレンドに敏感である
広報職ではトレンドや時事問題への感度の高さが求められます。世の中の動向を素早くキャッチし、企業活動に関連付けて発信することが重要な業務となります。日頃からニュースや社会の動きに関心を持ち、情報収集を習慣にしている方に向いています。
特に企画立案の際には、流行を取り入れることで注目を集めやすくなります。新しい情報に対する好奇心や、自ら情報を整理・分析するスキルが強みになるでしょう。他社の広報活動にも関心を持ち、なぜその企画が話題になったのかを考察する習慣も大切です。
物事を客観的に見られる
広報の仕事においては、客観的な視点を持つことが何よりも重要です。自社の取り組みや製品について、外部の目線から見つめ直し、その魅力を正確かつ適切に伝える必要があります。自社の良さを誇張しすぎず、公平でバランスの取れた情報発信が求められるのです。
また、企業の代表者として取材対応をする場面も多いため、広い視野を持って全社的な観点から判断できる能力が必要です。経営方針や事業戦略を深く理解した上で、その内容を的確に伝えることが、信頼を得るための重要な要素となります。
さらに、危機的な状況や不祥事が生じた場合には、冷静さと客観性が不可欠です。問題の本質を冷静に分析し、適切な対応策を講じることが、広報担当者の大きな使命です。広範な視野と冷静な判断力を備えることこそが、広報の専門性を高め、強みとする能力となるでしょう。
・人とのコミュニケーションが好き
・トレンドや時事問題に敏感
・物事を客観的に判断できる
・情報収集が習慣になっている
・冷静な判断力を持っている
新卒に伝えたい広報のやりがいや魅力
広報職は企業と社会をつなぐ重要な役割を担っており、新卒の方にとって魅力的なキャリア選択肢となっています。情報発信のプロフェッショナルとして活躍できる広報の仕事には、他の職種にはない特有のやりがいがあります。
自社の魅力を社会に伝え、企業価値を高める活動は大きな充実感をもたらします。広報職の魅力を知ることで、就職活動中の方々が自分に合った職業を選ぶ参考になるでしょう。ここでは広報職ならではの魅力とやりがいについて詳しく解説します。
情報発信を通じて、社会や人に影響を与えられる
広報職の最大の魅力は、情報発信を通じて社会や人々に直接影響を与えられる点です。自社の商品やサービスが広く知られるようになる過程を間近で見ることができます。プレスリリースが記事になったり、企画したイベントが話題になったりする瞬間は格別の達成感があります。
また自分の言葉や発信が社会の中で反響を生み出す体験は他の職種ではなかなか味わえません。特に自社商品の認知度が上がり、街中で見かけるようになった時には大きな喜びを感じられるでしょう。
企業のブランド作りができる
企業のブランドイメージを築き上げ、知名度を高める役割を担うことは、広報部門の醍醐味の一つです。広報活動が成功すれば、売上の増加やウェブサイトの閲覧数増加といった具体的な結果としてその効果を実感できます。数字の伸びを直に感じることができ、自分の取り組みが企業の成長に直結していると実感できる喜びがあります。
たとえば、報道された記事の広告換算値や認知度調査の結果を通じて、自分の仕事の価値を客観的に測ることも可能です。こうした指標をもとに、企業イメージの向上に寄与している充実感を持ちながら、意義ある仕事に取り組むことができるのです。
多様な人と関われる
広報職の大きな魅力は社内外の多様なステークホルダーとの出会いです。メディア関係者や業界の専門家など普段接することが少ない人々と積極的にコミュニケーションを取ります。こうした交流は視野を広げ、多様な価値観に触れる機会となります。
また広報担当者同士のコミュニティも充実しており、情報交換や共同プロジェクトを通じて心強い仲間を得られます。業界を超えたつながりは広報ならではの財産となるでしょう。
多くのスキルが取得できる
広報職では企画立案や対人折衝、調整業務など幅広いスキルを習得できます。文章力やプレゼンテーション能力はもちろん、危機管理能力や戦略的思考力なども自然と身につきます。これらのスキルは広報業務だけでなく他職種や他業界でも活用できる汎用性の高いものです。
さまざまな場面で柔軟な対応力が求められるため、問題解決能力も向上します。将来のキャリアパスを考える上でも広報で得たスキルは大きな強みとなるでしょう。


新卒で広報を目指す方法
広報職は企業と社会をつなぐ重要な役割を担う魅力的な職種です。しかし新卒から広報職に就くためのルートは決して多くありません。新卒採用で直接広報部門に配属されるケースは限られているため、どのような選択肢があるのか把握しておくことが大切です。ここでは新卒で広報を目指す際の具体的な方法をご紹介します。
PR・広報の新卒ポジションへの応募
大手企業の多くはジョブローテーション制を採用しているため、新卒で広報専任職種の募集は非常に限られています。しかし稀に直接広報職を募集するケースもあるため、新卒求人サイトを定期的にチェックすることをおすすめします。
こうした募集は希少なため倍率が高くなりがちですが、チャレンジする価値は十分にあります。応募する際は求人内容を慎重に確認しましょう。中にはアシスタント業務が中心で成長機会が限られる場合もあります。自分が広報職でどのようなことを実現したいのかを明確にした上で判断することが重要です。
ベンチャーのPR・広報への応募
スタートアップやベンチャー企業では広報専任の部署がなく、マーケティングや総務などと兼務している場合が多くあります。従業員数が少ない組織では広報未経験者の募集も比較的多く見られるため、新卒にとっては参入しやすい環境といえます。
ベンチャー企業では経営層と広報の距離が近く、広報活動の重要性への理解も高いことが特徴です。ただし業務のスピードが速く、自ら主体的に役割を獲得していく姿勢が求められます。また他業務との兼務により広報活動の優先度が下がることもあります。
PR会社・広告代理店のPR部門への応募
事業会社の広報ではなく、企業のPR活動を支援するPR会社や広告代理店のPR部門も有力な選択肢です。これらの企業は複数のクライアントのPR支援を行うため、業界の最新トレンドに常に触れることができます。未経験者や第二新卒を積極的に採用している会社も多くあります。
様々な企業のPR活動に携わることで、自分の適性や興味がどの分野にあるのかを見極めることができます。メディアリレーションズに強みを発揮するのか、業界団体やNPOとの関係構築に興味があるのかなど、PR業務の中での自分の得意分野を発見できるでしょう。
1. 大手企業の直接広報職募集(競争率高)
2. ベンチャー企業での兼務スタート
3. PR会社・広告代理店のPR部門
それぞれにメリット・デメリットがあるので、自分の価値観に合ったルートを選びましょう。
新卒で広報になるのに有利な資格
広報職を目指す新卒者にとって、専門知識や実務能力を証明できる資格は大きな強みとなります。IRプランナーやPRプランナーなど、広報関連の資格を取得することで、採用選考における優位性を確保できるだけでなく、入社後のキャリア形成にも役立ちます。以下では、広報職に就く際に有利となる代表的な資格を紹介します。
IRプランナー
IRプランナーは投資家向けのインベスター・リレーションズに関する知識を証明する資格です。この資格を持つ人材は企業と投資家の橋渡しをする重要な役割を担います。企業外部からの客観的な意見を経営に取り入れる能力も評価されるポイントです。
資格取得後は名刺に記載することができるため社内外からの信頼獲得につながります。そのため資格取得を奨励している企業も少なくありません。基礎コースから上級コースまで用意されているので自分のスキルや目標に合わせて選択するとよいでしょう。
PRプランナー資格認定制度
PRプランナー制度は広報の基本知識を評価する認定制度です。この資格は「PRプランナー」「准PRプランナー」「PRプランナー補」の3段階に分かれています。
試験は1次から3次まであり、特に注目すべきは3次試験です。制限時間内にニュースリリースと広報企画を作成して提出する実践的な内容となっています。3次試験の受験には3年間の広報実務経験が必要条件となるため実践力の証明になります。
また合格者はメールで交流会や勉強会の案内を受け取れるようになります。これにより社外の広報担当者との情報交換の場を得られることも大きなメリットです。
商品プランナー
商品プランナーは商品の企画・開発に関する知識を問う資格です。PRプランナーやIRプランナーと同様に広報業務に必須ではありませんが取得しておくと有利に働きます。
この資格があれば商品・サービスの企画や販売促進などのマーケティング知識を持っていることの証明になります。受験資格に特別な条件はなく誰でもチャレンジできる点も魅力です。試験内容は商品企画やサービス企画、商品開発、マーケティングなど4つの分野から構成されています。
広報に有利なスキルと志望動機の例
広報の仕事に役立つスキルや志望動機の例を理解しておくことは、選考やキャリアアップにおいて非常に重要です。ここでは、実践的に役立つ3つのスキルと、その志望動機の例を詳しく解説します。
プレゼンテーション能力
広報PR担当者は文章による情報発信だけでなく口頭でのプレゼンテーションも多く行います。メディアプロモーションなどの場面では聞き手を引きつける話術が必要です。効果的なプレゼンテーションには論理的な内容構成と場の熱気を生み出す表現力の両方が求められます。
言葉の選び方はもちろん口調や態度などの非言語コミュニケーションも含めて人の心を動かせる力を磨くことが大切です。これらの要素を総合的に高めることができれば広報担当者として非常に強い武器になるでしょう。
プレゼンテーション能力を強みにした志望動機例
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力はあらゆる職種で重要ですが広報では特に企業の顔としての公共性が求められます。広報担当者は個人の意見ではなく企業の視点に立った発信が基本となります。
経営理念に沿った情報発信を行うためには様々なステークホルダーに配慮した言葉選びが必要です。「どう伝えれば正しく伝わるか」を常に意識することが重要です。また記者の関心や社会トレンドを把握する情報収集力や魅力的な企画力も広報に欠かせないスキルといえます。
コミュニケーション能力を強みにした志望動機
ライティングスキル
広報担当者には高度な文章作成力と校正能力が必須です。社内報やプレスリリース作成においては自社情報を正確かつわかりやすく伝える文章力が求められます。
特に新商品発表などの重要な場面では正しい日本語で必要事項を過不足なく盛り込みつつ商品の魅力を効果的に言語化する技術が必要になります。また広報が発信する情報には誤りがあってはなりません。ファクトチェックや誤字脱字の確認など適切な校正を行う能力も広報担当者にとって不可欠なスキルです。
ライティングスキルを強みにした志望動機


まとめ
本記事では、新卒で広報を目指す方に向けて、具体的なキャリアの道筋や志望動機の作り方を詳しく解説しました。広報の仕事は、コミュニケーション能力や企画力、プレゼンテーションスキルなど、多くの魅力的なスキルを身につけられる職種です。
未経験でも積極的な準備と努力次第で、夢を実現できます。自分の強みや志望動機をしっかり伝えることで、採用担当者にアピールしましょう。未来の広報として活躍できるよう、今から準備を進めてください。
