DX化やIT化が積極的に進められているなかで、IT業界を目指す新卒者・転職者の人数は増加傾向にあります。しかし人気が高いということは、それだけ応募者が多いということです。
このような背景から「ほかの人と違った自己PRを作成したい」「差別化が図れる自己PRの作成方法を知りたい」といった悩み・不安を抱えている人は少なくありません。
本記事ではIT志望者向けに、自己PRの作り方を紹介します。業界別のポイント・構成・例文なども含めて解説するので、ぜひ参考にしてください。

IT企業が求める人材とは
IT企業が求める人材について確認していきましょう。
勉強に熱心な人
IT業界は技術の進化が速く、常に新しい知識が求められます。そのためIT企業が求める人材として、勉強に熱心な人は非常に重要です。
新しいプログラミング言語やフレームワークを自ら学び、最新のトレンドを追いかける意欲がある人は、変化の激しいIT業界で即戦力となって活躍できます。自身の成長とともに、会社の成長にも貢献できる貴重な人材です。
技術に対する飽くなき探求心を持つ人材は、企業にとって大きな財産となるでしょう。
コミュニケーション能力の高い人
IT企業では、チームでプロジェクトを進めることがほとんどです。そのため、コミュニケーション能力の高い人は非常に重宝されます。
特に以下のような能力が高い人は、必要不可欠な人材といえるでしょう。
- 自分の意見を明確に伝える
- 相手の意見を傾聴できる
- 円滑な人間関係を築ける
これらの能力が高い人は、プロジェクトをスムーズに進めるうえで不可欠だからです。
また顧客や他部署との連携においても、高いコミュニケーション能力は信頼関係を構築し、質の高い成果につながります。
技術力だけでなく人とつながりを大切にする姿勢が、IT業界での成功には不可欠といえるでしょう。
計画性のある人
ITプロジェクトの成功には、計画性のある人が不可欠です。
システム開発は、以下のような多岐にわたる工程から成り立っています。
- 要件定義
- 設計
- 実装
- テスト
- 運用
これらにはそれぞれ明確な目標および期限が設定されており、それらを守らなければなりません。
計画性のある人は、これらの工程を細分化して現実的なスケジュールを立てられます。また予期せぬ問題が発生しても柔軟に対応しながら、着実にプロジェクトを推進できるでしょう。
限られた時間とリソースのなかで品質の高い成果物を生み出すためには、計画性をもって行動する能力が求められます。
変化に対応できる人
IT企業が求める人材として、変化に対応できる人は不可欠といえるでしょう。IT業界は技術革新が目まぐるしく、常に新しい技術やサービスが登場するからです。
ITプロジェクトには、以下のような変化がつきものといえます。
- 予期せぬトラブル
- 仕様変更
- 新しいツールの導入
このような状況下でも固定観念に囚われず、柔軟な発想で新しい知識やスキルを積極的に吸収しなければなりません。目まぐるしく変化する状況に適応できる人は、さまざま困難も乗り越えてプロジェクトを成功に導く鍵を握っています。
変化を恐れず、むしろ楽しむくらいの意欲がある人のほうが高く評価されるでしょう。
パソコンスキルが高い人
IT企業にとってパソコンスキルは業務効率と生産性に直結するため、非常に重要です。
単にタイピングが速いだけでは十分とはいえません。そのほかにも以下のようなスキルが求められます。
- OSの基本操作
- Officeソフト(Word・Excel・PowerPoint)のビジネスレベルでの活用
- ファイル管理
- ネットワークの基礎知識
これらの基礎的なスキルがしっかりしていれば、プロジェクトへの早期貢献が可能です。
基本的なパソコンスキルは、IT業界で活躍するための土台となるでしょう。

【業種別】IT業界の自己PRのポイント
IT業界の自己PRポイントを業界別に紹介します。なお、経験者向けと未経験者向けの両方に対応した内容にしているので、いずれに該当する場合も参考にしてください。
IT営業の自己PRのポイント
IT営業は顧客のビジネス課題をヒアリングし、IT技術やサービスを活用した解決策を提案・販売する仕事です。
提案内容は、自社製品やシステムの導入だけではありません。クラウドサービス、セキュリティ対策など多岐にわたるソリューションを提供します。
顧客のニーズを深く理解し、IT知識を活かして最適な提案を行わなければなりません。コンサルティング的な側面も持ち合わせており、業務内容は多岐にわたるといえるでしょう。
契約後のアフターフォローや、社内のエンジニアとの連携も重要な役割のひとつとしてあげられます。
提案力
IT営業において提案力は、顧客の課題解決に直結する重要な強みです。
業務で求められるのは、単に製品を説明する能力だけではありません。顧客の抱えるビジネス上の問題を深く理解し、その解決に最適なITソリューションを具体的に提示するスキルも求められます。
IT営業で求められる提案力として、以下のようなスキルがあげられるでしょう。
- 論理的思考力
- データや事例を交えた説明力
- 明確性
- 納得感を与える話し方
上記のようなスキルを含めた提案力は、信頼獲得と成約につながります。
主体性
IT営業では、主体性も成果を出すうえで不可欠な要素です。
市場の変化や顧客の潜在ニーズを自ら探り、積極的にアプローチできます。競合に先駆けて、いち早くチャンスを創出できるでしょう。
また困難な課題に直面した際も、他者の指示を待っていてはいけません。自ら情報収集や解決策の検討を行い、行動を起こすことが重要です。積極的な行動が、プロジェクトを前進させます。
常に能動的に考えて行動できる主体性は、IT営業として顧客からの信頼を得るとともに目標達成につながる大きな強みとなるでしょう。
ITコンサルタントの自己PRのポイント
ITコンサルタントは、企業の経営課題をITの力で解決する専門家です。
顧客のビジネスや業務フローを深く分析し、現状の課題を洗い出します。そのうえで最適なIT戦略の立案、必要なシステムの選定・導入、運用支援まで一貫して支援します。
ITコンサルタントが受け持つ業務は、単なるIT技術の導入だけではありません。企業の経営改善や成長を目的とし、戦略的な役割を担います。そのためには、経営層とのコミュニケーションも重要といえるでしょう。
プロジェクトの進捗管理・導入後の効果測定を行うケースもあり、その内容は多岐にわたります。
情報収集力
ITコンサルタントにとって情報収集力は、顧客の課題を正確に把握して最適な解決策を導き出すうえで不可欠です。
以下のような情報を効率的に集め、分析する能力が求められます。
- IT業界のトレンド
- 競合他社の動向
- 顧客企業の業界特有の事情
単に情報を集めるだけでは、十分とはいえません。その信憑性を判断して本質的な課題を見抜く力が、精度の高いコンサルティング提案につながります。
常にアンテナを張って質の高い情報を迅速にインプットできることは、ITコンサルタントとしての大きな強みとなるでしょう。
論理的思考力
ITコンサルタントは、複雑な課題を構造的に整理して最適な解決策を導き出さなければなりません。そのためには、論理的思考力が極めて重要です。
問題の原因を特定して複数の選択肢を比較検討する際には、感情や感覚に流されてはいけません。客観的な事実に基づいて、筋道を立てて考える力が求められます。
この能力は顧客への提案を説得力のあるものにし、プロジェクトを効率的に推進するためにも不可欠です。複雑なIT課題をシンプルに解き明かすとともに明確な解決策を提示できる論理的思考力は、ITコンサルタントとして大きな武器となるでしょう。
データサイエンティストの自己PRのポイント
データサイエンティストは膨大なデータを分析し、そこからビジネスに役立つ知見やパターンを発見する専門家です。
具体的には以下の表な情報を、統計学・機械学習などを用いて解析します。
- 企業の売上データ
- 顧客行動
- IoTデータ
業務内容は情報収集と解析だけではありません。その分析結果に基づき、以下のような役割を担います。
- 経営戦略の策定支援
- 新サービスの開発
- 業務効率化
- 意思決定の支援
プログラミングスキル・統計知識・ビジネス理解の3つが求められる重要な仕事といえるでしょう。
柔軟性
データサイエンティストにとって柔軟性は、分析の精度と成果を大きく左右します。データは常に変化し、予期せぬ課題や新しい分析手法が日々登場するためです。
固定観念に囚われていては、高いパフォーマンスは出せません。状況に応じて、アプローチを調整する能力が求められます。
またビジネス側の要望が途中で変わったり、新たなデータソースが見つかったりすることも珍しくありません。
このような変化に迅速に対応して最適な解決策を模索できる柔軟な思考と姿勢は、データから真の価値を引き出すうえで不可欠な強みとなります。
分析力
データサイエンティストにとって分析力は、大量のデータから価値ある洞察を引き出すうえで最も核となるスキルです。
統計的な手法や機械学習モデルを駆使して、データの背後にあるパターン・傾向・因果関係を深く読み解く能力が求められます。複雑なデータの中から本質的な課題を見つけ出し、ビジネス上の意思決定につながるような示唆を導き出さなければなりません。
分析力は、データサイエンティストとして不可欠な強みとなるでしょう。
ITエンジニアの自己PRのポイント
ITエンジニアは、システムやネットワークなどの設計や保守を行う専門家です。
主な業務内容として、以下のようなものがあげられるでしょう。
- 顧客の要望や課題をヒアリング
- 要件定義
- プログラミングによる実装
- テスト
- 稼働後の監視
- 改善
プログラミング言語や開発ツールを駆使してIT技術を駆使して社会や企業の課題解決に貢献する、ものづくりの中心を担う職種といえます。
調整力
ITエンジニアにとって調整力は、プロジェクトを円滑に進める上で非常に重要です。
顧客の要望と技術的な実現可能性のバランスを取ったり、異なる専門性を持つチームメンバー間の意見をまとめたりする場面が多々あります。また他部署との連携やスケジュール調整なども、スムーズな進行には欠かせません。
多様な関係者の意見を傾聴して最適な妥協点を見出しながら、プロジェクト全体を成功に導く必要があります。調整力は、ITエンジニアとして高く評価される強みとなるでしょう。
計画力
ITエンジニアにとって計画力は、プロジェクトの成否を左右する重要なスキルです。
システム開発は、以下のような複雑な工程から成り立っています。
- 要件定義
- 設計
- 実装
- テスト
- リリース
各フェーズでは明確な目標と期限を設定し、適切なリソース配分を計画しなければなりません。予期せぬ問題が発生しても、事前に立てた計画に基づいた柔軟な軌道修正が求められます。
目標達成に向けて着実に作業を進める計画力は、高品質なシステムを納期内に完成させる上で不可欠な強みといえるでしょう。

【例文付き】IT業界の自己PR
結論ファーストを踏まえたIT業界の自己PRの例文を紹介します。
未経験者向け:自己PRの例文
①営業経験を活かしたIT営業志望の例文
私は前職で法人営業を3年間経験し、新規開拓から既存顧客のフォローまで幅広く担当してきました。月間目標達成率は平均120%を維持し、顧客との信頼関係構築を得意としています。IT業界は未経験ですが、普段からテクノロジーに関心を持ち、最新のITトレンドを積極的に情報収集しています。営業で培ったヒアリング力と提案力を活かし、お客様のビジネス課題をITソリューションで解決する営業として活躍したいと考えています。貴社でIT知識を深めながら、顧客に価値を提供する営業職を目指します。
②独学でスキルを習得したエンジニア志望の例文
私は独学でプログラミングを学び、HTML/CSS、JavaScript、Pythonの基礎スキルを習得しました。個人プロジェクトとして、ToDoアプリとポートフォリオサイトを制作し、GitHubで公開しています。また、オンライン学習プラットフォームで500時間以上の学習を積み重ね、基本情報技術者試験にも合格しました。前職では製造業で品質管理を担当し、論理的思考力と問題解決能力を培いました。技術への探究心と継続的な学習意欲を活かし、貴社でエンジニアとしてのキャリアをスタートし、チーム開発を通じて実践的なスキルを身につけたいと考えています。
経験者向け:自己PRの例文
①IT営業経験者の例文
私は顧客の課題を深く理解し、最適なITソリューションを提案することが得意です。前職では新規開拓を担当し、年間売上目標120%を達成しました。技術知識を身につけるため基本情報技術者試験を取得し、エンジニアとの橋渡し役として信頼関係を築いてきました。ITの専門性と営業力を活かし、お客様のデジタル変革を支援したいと考えています。
②ITエンジニア経験者の例文
私は品質の高いシステム開発と継続的な技術向上に取り組んでいます。JavaとSpringを使ったWebアプリケーション開発で3年の経験があり、チームリーダーとして5名のメンバーをまとめました。AWS認定資格も取得し、クラウド技術にも精通しています。最新技術を学び続け、ユーザーに価値を提供するシステムを作り上げたいと思います。

自己PRの構成のポイント
自己PRの構成ポイントを紹介するので、参考にしてください。
結論を最初に述べる
自己PRでは、まず結論を最初に述べることが重要です。
最も伝えたい強みやアピールポイントを明確にすることで、採用担当者の注意を引きつけられます。また、その後の具体的な説明への関心を高める点でも効果的です。
具体的な数字やエピソードで根拠を示す
自己PRでは、強みを裏付けるために具体的な数字やエピソードで根拠を示すことが不可欠です。
単に「頑張った」ことだけを伝えても、採用担当者に強い印象を与えられないでしょう。客観的な事実や成果を、具体的な数字とともに盛り込みましょう。
主張に説得力が増し、採用担当者は能力や貢献度を具体的にイメージしやすくなります。
経験から得た結果を述べる
自己PRでは経験を通じて何を得たのか、どんな学びがあったのかを具体的に伝えるましょう。単なる成果だけでは、強いインパクトが与えられないからです。
その経験から得られたスキルや知見を述べることで、成長と物事から学び取る力をアピールできます。
採用担当者は人間性やポテンシャルを、より具体的にイメージしやすくなるでしょう。
結果をどう仕事に活かすか述べる
自己PRの締めくくりでは、これまでの経験から得たスキルや学びを、入社後にどう活かしていくかを具体的に伝えるましょう。
強みが志望企業でどのように貢献できるのかを明確にすることで、採用担当者は即戦力として活躍するイメージを持ちやすくなります。
まとめ
IT志望者向けの自己PRの作り方を紹介しました。
IT業界の求人は増加傾向にありますが、応募者も比例して増えています。そのような現状で採用率を高めるためには、個性的な自己PRが欠かせません。
本記事で解説したポイント・例文を参考にして、個性・魅力がアピールできる自己PRを作成してください。
