
第二新卒のなかには、新たな転職先を探す際の媒体としてハローワークを選択肢のひとつに含める人がいます。ハローワークは、厚生労働省が管轄する職業案内機関です。そのため、安心・安全と感じる人もいるでしょう。
しかしその一方で「第二新卒の転職先はハローワークで見つけられるのか」「ハローワークの利用方法がわからない」といった不安・悩みを抱えている人も少なくありません。
本記事では、第二新卒向けにハローワークの実態を紹介します。利用する際のメリット・デメリット、ハローワーク利用に向いている人なども含めて網羅的に解説するので、ぜひ参考にしてください。
ハローワークとは
ハローワークとは、厚生労働省が管轄する職業案内機関です。ハローワークという呼び方は愛称であり、正式名称は公共職業安定所といいます。全国に設置されており、働くことが可能な年齢であれば、誰でも利用可能です。主な利用対象者として、以下のような人があげられます。
- 仕事を探している人
- 就職を希望するフリーター・第二新卒・ニート
- 障がいのある人(専用窓口あり)
- 子育て中の人
ハローワークでは求職者への職業紹介や雇用保険手続きなど、多岐にわたるサービスを無料で提供しています。
一般的なハローワークに加えて新卒者向けの「新卒応援ハローワーク」も存在し、第二新卒者はこちらを利用することが多いでしょう。これら2つのハローワークにはサービス内容や対象者に違いがありますが、その詳細については次の項目で詳しく解説します。

新卒応援ハローワークと通常のハローワークの違いとは
新卒応援ハローワークと通常ハローワークの違いを確認していきましょう。
違い | 新卒応援 | 通常 |
対象 | ・大学、大学院、短大、高専、専門学校等の学生 ・卒業後おおむね3年以内の既卒者 |
働ける年齢であれば誰でも対象 |
専任のジョブサポーター | ・あり ・キャリアコンサルタント有資格者や人事経験者など |
なし |
順番待ち | ・なし ・原則予約制 |
・あり ・予約不可 |
相談員 | 毎回同じ相談員がマンツーマン | 毎回異なることが多い |
新卒応援ハローワークは、新卒者・若年層の就職活動に特化しています。原則予約制ではありますが、その代わり通常のように順番待ちをする必要はありません。また毎回同じ相談員が担当してくれるので、さまざまな点できめ細やかなサポートが期待できます。
担当する相談員は、キャリアコンサルタント有資格者や企業での人事経験者です。キャリアサポートを得意とする相談員が担当してくれるので、就職活動そのものに慣れていない人にとっても心強い味方になってくれるでしょう。

第二新卒がハローワークで就活するメリット
第二新卒がハローワークで就活するメリットを紹介します。
専任のジョブサポーターがつく
第二新卒がハローワークで就職活動をする大きなメリットは、専任のジョブサポーターがつくことです。
通常のハローワークでは毎回相談員が変わりますが、新卒応援ハローワークではそのようなことはありません。毎回同じ相談員が状況を深く理解し、一貫したサポートを提供してくれます。
具体的なサポート内容は以下の通りです。
- 自己分析
- 履歴書・職務経歴書の添削
- 面接対策
- 個別の相談
地元企業の情報に強い
第二新卒がハローワークで就職活動をするメリットとして、地元企業の情報に強い点もあげられるでしょう。ハローワークは、地域の企業が無料で求人を掲載できるからです。
大手求人サイトにはない、地元の中小企業や隠れた優良企業の求人情報が豊富という特徴があります。UターンやIターンを考えている第二新卒にとっても、希望する地域の求人を探しやすいでしょう。地域に根ざした働き方を実現したい方には非常に有効な選択肢のひとつといえます。
精神的なサポートを受けられる
精神的なサポートが受けられることも、第二新卒がハローワークで就職活動をするメリットです。
例えばキャリアアドバイザーは、就職活動の悩みや不安に寄り添い、適切なアドバイスを提供してくれます。
また相談員として臨床心理士が常駐している場合には、専門的な支援を受けることも可能です。
一人で抱え込まずに相談できるため、精神的な負担を軽減して前向きに活動を続けられます。
選考の結果が必ず通知される
選考結果が必ず通知される点も、第二新卒がハローワークで就職活動をするメリットといえるでしょう。
ハローワークを通じて応募した場合、たとえ不採用であったとしても、企業は応募者に結果を通知しなければなりません。これは応募後の不安を軽減し、次のステップへスムーズに進むために非常に重要です。
不採用の理由を直接聞くことで、今後の選考対策に活かせる場合もあります。

第二新卒がハローワークで就活するデメリット
第二新卒がハローワークで就活するデメリットを紹介するので、参考にしてください。
ブラック企業が求人を出している場合がある
第二新卒がハローワークで就職活動をする際のデメリットとして、ブラック企業が求人を出している場合がある点には注意が必要です。
ハローワークは無料で求人を掲載できるため、企業の審査基準が大手求人サイトに比べて緩い傾向があります。そのため、労働環境が劣悪なブラック企業が紛れ込んでいる可能性もゼロではありません。
第二新卒に特化している求人は少ない傾向にある
第二新卒に特化した求人が少ない点は、ハローワークで就職活動をするデメリットです。
ハローワークは幅広い層の求職者を対象としているため、第二新卒に絞った条件での求人検索が難しい場合があります。特にキャリアアップを目指すような質の高い第二新卒向けの求人は、転職エージェントなどに比べて見つけにくい可能性が高いでしょう。
ハローワークのシステムが使いづらい
第二新卒がハローワークで就職活動をするデメリットとして、ハローワークのシステムが使いづらいと感じる点があります。
特にオンラインでの求人検索システムは、最新の転職サイトに比べて直感的でなく、使いこなすのに時間がかかることがあります。希望条件での絞り込みがしにくかったり、情報が更新されていなかったりするケースも少なくありません。
ハローワークのシステムは、効率的な求人探しを妨げる可能性があります。
相談員の熱意が少ないことがある
相談員の熱意にばらつきがある点は、第二新卒がハローワークで就職活動をする際のデメリットといえるでしょう。
多くの相談員は、求職者に対して熱心にサポートをしてくれます。しかし画一的な対応に終始し、個別の状況に深く踏み込んだサポートをしてくれないケースもあるので注意が必要です。
特に専門的な知識や業界への深い理解が求められる相談では、物足りなさを感じるかもしれません。
働きながらの利用は難しい
働きながらの利用が難しい点は、第二新卒がハローワークで就職活動をするデメリットです。
ハローワークの開庁時間は平日の日中が中心であり、土日や夜間の開庁は限られています。
働きながら転職活動をしている第二新卒にとって、相談・求人紹介・セミナー参加などのサービスを利用するための時間を確保するのが困難な場合があるでしょう。

第二新卒はハローワークよりエージェントを使った方がいい!?
ハローワークを利用した際のメリットとデメリットを比較して、デメリットのほうが多いと感じた場合には、エージェント利用をおすすめします。
転職エージェントは独自のサービスが充実している
転職エージェントはハローワークと比較して独自サービスが充実しているため、利用価値が高いと感じる人もいるでしょう。具体的な独自サービスの内容は、以下の通りです。
- 個別のキャリア相談
- 適性診断
- 市場価値の明確化
- 非公開求人からの提案
- 応募書類の添削
- 面接対策
- 内定獲得のサポート
- 条件交渉の代行
転職エージェントは業界に特化した深い知見を持つため、企業ごとの文化や求める人材像まで把握しています。転職エージェントでは、これらのサービスや情報をフル活用することで、ミスマッチのリスクを大幅に軽減できます。これは大きなメリットといえるでしょう。
第二新卒向けの求人が多い
第二新卒の転職活動では、転職エージェントの活用が効果的です。特に第二新卒に特化したエージェントは、企業が求めるポテンシャルや育成前提の求人を豊富に保有しています。
ハローワークでは網羅しきれない非公開求人が多い点も、エージェントの魅力のひとつといえるでしょう。未経験職種への挑戦やキャリアチェンジを考えている第二新卒にとって、選択肢が格段に広がります。
また過去の第二新卒の採用実績に基づいたマッチング精度も高く、効率的な転職活動が可能です。さらなるキャリアアップを考慮している人にとっては、メリットが大きいでしょう。
労働条件を交渉してくれる
転職エージェントを利用するメリットのなかでも、労働条件の交渉を代行してくれる点は大きな魅力です。給与や入社日など自分では直接企業に伝えにくい条件交渉も、エージェントが間に入ってプロとして行ってくれます。ハローワーク利用時には、企業と労働者の間に入ってこのような交渉はしてもらえません。
転職エージェントが条件交渉を代行することで希望する条件を伝えやすくなり、よりよい待遇で入社できる可能性が高まります。
交渉のストレスから解放されて選考に集中できるため、効率的かつ安心して転職活動を進められるでしょう。

第二新卒でハローワークを使うのに向いている人の特徴
一人きりでの転職活動が心細い人
第二新卒で「一人きりでの転職活動は心細い」と感じる場合は、ハローワークの利用も有効な選択肢です。
ハローワークには専任の職員が常駐しており、以下のようなきめ細やかなサポートが無料で受けられます。
- 個別の職業相談
- 求人紹介
- 応募書類の添削
- 面接指導
転職に関する悩みや不安を相談できるため、精神的な支えにもなるでしょう。
またセミナーや説明会も頻繁に開催されており、同じ状況の求職者と情報交換できる機会もあります。
地域密着型の求人を探したい人
第二新卒で地域密着型の求人を探している方には、ハローワークの利用が特におすすめです。
ハローワークは各地域に密着しており、その土地の企業が直接求人を出すケースが多く見られます。地元での就職を希望する方にとっては、豊富な選択肢が見つかるでしょう。
第二新卒のハローワークの利用方法
第二新卒のハローワーク利用方法について確認していきましょう。
求職者登録を行う
第二新卒がハローワークを利用する最初のステップは、求職者登録です。
最寄りのハローワーク窓口で、求職申込書を提出します。インターネットサービスで仮登録後、来所して本登録することも可能です。
この登録によりハローワークの求人情報の閲覧や職業相談、各種セミナーへの参加など、さまざまな支援サービスが受けられるようになります。
求人を探す
求職者登録が完了したら、ハローワークインターネットサービスやハローワーク内の検索端末で求人を探しましょう。
「第二新卒」や「未経験歓迎」などのキーワード、希望する職種・勤務地・給与といった条件を設定して検索してください。また、窓口の専門職員に相談すれば、第二新卒向けの求人を紹介してもらうことも可能です。
地元密着型の求人が多いため、Uターン・Iターン転職希望者にも適しています。
紹介状を受け取る
応募したい求人が見つかったら、ハローワークの窓口で求人票を提示して紹介状の発行を依頼してください。職員が求人内容やあなたの希望を確認し、応募に必要な紹介状を作成してくれます。
企業の採用面接を受ける
紹介状を受け取ったら、企業の指示に従って採用面接に臨みます。ハローワークを利用した場合の一般的な流れは、以下の通りです。
- ハローワークからの紹介であることを企業に伝える
- 指定された方法で応募書類を提出する
- 面接日時が調整される
面接では第二新卒としての意欲やポテンシャル、これまでの経験から学んだことなどを具体的にアピールしましょう。
第二新卒向けのおすすめのハローワーク
拠点 | 特徴 |
東京 | ・利用したことがない人向けのオンラインプチ相談あり ・企業説明会やミニ面接会を開催 ・平日は10時~18時 ・第1と第3土曜日は10時~17時 |
大阪 | ・登録や就活相談は事前予約不要 ・メタバースを利用したバーチャル職場見学会を開催 ・平日は10時~18時 ・第1と第3土曜日は10時~17時 |
仙台 | ・こころの相談窓口設置 ・応募書類添削や模擬面接あり ・平日の10時~18時半 |
広島 | ・予約相談可能 ・書類添削や面接トレーニングあり ・平日の9時半~18時 |
岡山 | ・事前予約制 ・ブラック企業の相談受付あり ・平日の10時~18時 |
第二新卒で良い求人を探す心得
第二新卒で良い求人を見つけるには、いくつかの心得が重要です。
まず、焦らず慎重に判断しましょう。給与だけでなく、企業の文化・働き方・将来の成長性なども含め、総合的に納得できる企業を選ぶことが大切です。
次に、徹底した企業研究を心がけてください。求人票の情報だけでは不十分です。企業の公式サイトはもちろん、ニュース記事やSNS、口コミサイトなども活用し、その企業のリアルな姿を深く理解しましょう。
まとめ
第二新卒でのハローワーク利用について解説しました。
ハローワークは、登録すればすべてのサービスを無料で利用できます。また、地域に密着した就職活動支援を行っているので、地元で働きたい人にとってはメリットが大きいでしょう。
本記事で紹介したメリット・デメリット・向いている人などを参考にして、ハローワークを有効活用してください。
