企業を支える部署・職種にはさまざまなものがありますが、そのなかでも新卒も含めて人気が高いのがマーケティングです。「知的」「華やか」といったイメージを持たれることが多いため、人気が高くなっているのでしょう。
しかしその一方で、「新卒でのマーケティング採用は狭き門と聞いた」「どのようなスキルがあれば有利なのかわからない」といった疑問・不安を抱いている人も少なくありません。
本記事では、マーケティングの新卒採用事情について解説します。マーケティングの業務内容・必要スキル・採用率を高める方法なども含めて網羅的に紹介するので、ぜひ参考にしてください。
新卒でマーケティングは難しい?
新卒のマーケティング人気は高い傾向があります。しかしその一方で、新卒でもマーケティングは難しいという声が少なくありません。その理由として、以下のような点があげられます。
理由 | 具体的な内容 |
専門性と即戦力志向の高さ | ・マーケティングは多岐にわたる専門知識が必要 ・新卒で実務レベルの知識を持ち合わせていることはまれ |
採用枠の少なさ | ・少数のプロフェッショナルで構成されることが多め ・新卒の大量採用をするケースは少なめ |
経験および実績重視 | ・過去の事例や実績が重視される職種 ・新卒はインターンシップや個人活動以外の実績証明が困難 |
人気の高さと競争率の激化 | ・学生からの人気も高い職種 ・採用枠に対して応募者数が多く、競争率が高め |
マーケティングの業務内容
マーケティングの主な業務内容を紹介します。
市場分析・市場調査
主な業務 | 内容 |
目的設定と計画立案 | ・課題と目的の明確化 ・調査範囲と対象の定義 ・調査手法の選択 ・スケジュールと予算の策定 |
市場調査フェーズ | ・既存データの収集と分析 ・新規データの収集 |
市場分析フェーズ | ・データクレンジングおよび加工 ・統計分析 ・定性データの分析 ・フレームワークを用いた分析 |
示唆の抽出と報告 | ・インサイト抽出 ・レポート作成 ・プレゼンテーション ・戦略への提言 |
フィードバック | ・戦略の実行 ・効果測定とモニタリング ・フィードバックと改善 |
ブランド戦略・ポジショニング
主な業務 | 内容 | |
ブランド戦略 | ビジョン・ミッション・価値の定義 | ・ブランドビジョンの明確化 ・ビジョン実現のためのミッション定義 ・ブランドの価値観や信念の言語化 |
パーソナリティの定義 | ブランドの個性を設定(親しみやすさ、信頼性など) | |
アイデンティティの設計 | ブランド名、ロゴマーク、スローガン、カラーパレット、フォント、トーン&マナーなど | |
アーキテクチャの構築 | ブランド間の関係性の整理および体系化 | |
ガイドラインの策定 | 運用のためのルールブックを作成 | |
資産の管理と保護 | ・商標権の取得および管理 ・不正利用の監視 など |
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ポジショニング | ターゲット市場の特定と理解 | 市場調査と分析の結果に基づいてターゲティング |
競合分析 | 競合他社の特定および認知度の詳細分析 | |
差別化要因の特定と強化 | 自社の商品またはサービスの独自の強み・特徴などの洗い出しと強化 | |
ステートメントの策定 | 競合他社と比較していかにユニークな価値を提供できるかを明確化および言語化 | |
マーケティングミックスの策定 | マーケティング要素を一貫性をもって設定および実行 | |
浸透と効果測定 | ・定期的な認知度調査 ・戦略の調査 |
プロモーション・広告戦略
主な業務 | 内容 |
目的設定および戦略立案 | ・プロモーション目標の明確化 ・ターゲットオーディエンスの特定 ・クリエイティブとメッセージの方向性決定 ・予算策定 ・メディア選定 |
プロモーション・広告施策の企画・実行 | ・広告戦略(オフライン広告、オンライン広告) ・広報戦略 ・販売促進(キャンペーン、イベント、展示会など) ・コンテンツマーケティング ・ソーシャルメディアマーケティング ・ダイレクトマーケティング |
効果測定と分析および改善 | ・KPIトラッキング ・効果測定ツールの活用 ・費用対効果の算出 ・A/Bテストの実施 ・レポート作成と改善提案 |
コンテンツマーケティング
主な業務 | 内容 |
戦略立案・目的設定 | ・目的の明確化(リード獲得、SEO強化など) ・ペルソナ設定(年齢、興味関心など) ・カスタマージャーニーマップの作成 ・コンテンツテーマとアイデアの創出 ・競合コンテンツの分析 ・重要業績評価指標(KPI)の設定 |
コンテンツ制作および企画 | ・コンテンツフォーマットの決定(テキスト、ビジュアルなど) ・コンテンツ制作(リサーチ、構成など) |
コンテンツ配信・プロモーション | ・自社メディアでの配信 ・ソーシャルメディアでの拡散 ・検索エンジン最適化(SEO) ・有料プロモーション ・他社との連携 ・コミュニティ作成(コメント欄など) |
効果測定・分析・改善 | ・データ収集(アクセス解析ツールなど) ・分析(チャネル流入、キーワードパフォーマンスなど) ・課題特定と改善策の検討 ・レポーティング |
製品・サービス開発支援
主な業務 | 内容 |
市場と顧客ニーズの特定 | ・顧客インサイトの発見 ・トレンド分析 ・ペルソナ設定 ・カスタマージャーニーマップの作成 |
製品・サービスのコンセプトの企画と検証 | ・コンセプト開発 ・コンセプトテスト ・検討(顧客セグメント、チャネル、収益源など) |
開発フェーズへの協力とフィードバック | ・製品要件定義のへの参画 ・プロトタイプ評価とテスト |
市場投入戦略の策定 | ・ネーミングやパッケージングの戦略 ・価格戦略 ・流通戦略 ・プロモーション戦略 |
モニタリングと改善 | ・顧客フィードバックの収集 ・販売および利用データの分析 ・製品やサービスの改善提案 ・ライフサイクルマネジメント |
営業支援・リードジェネレーション
主な業務 | 内容 | |
営業支援 | 営業ツールの開発と提供 | ・製品やサービス資料の作成 ・プレゼンテーション資料の作成 ・競合比較資料の作成 ・契約や見積もり関連テンプレートの作成 |
営業担当者への情報提供とトレーニング | ・製品やサービス知識の共有 ・市場や顧客情報の共有 ・競合情報の共有 ・営業トークスクリプトの作成支援 ・ロールプレイングによるトレーニング支援 |
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営業プロセスの最適化支援 | ・SFA/CRMシステム連携 ・リード管理プロセスの定義 ・成果測定とフィードバック |
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リードジェネレーション | ターゲットリードの定義 | ・どのような企業・役職課題を持つ人がリードとして最適化を明確に定義 ・営業部門と連携して理想的な顧客増を設定 |
コンテンツマーケティングによるリード獲得 | ・Webサイトやブログ ・ダウンロードコンテンツ ・メールマガジン |
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デジタル広告によるリード獲得 | ・リスティング広告 ・SNS広告 ・ディスプレイ広告 ・動画広告 |
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オフライン活動によるリード獲得 | ・展示会やセミナーなどの企画と運営 ・ダイレクトメール |
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SEO | Webサイトやブログ記事が検索エンジンで表示されるように最適化 | |
リードナーチャリングとの連携 | 段階的に購買意欲を高めていくことが目的 | |
リードスコアリングの導入 | 興味度・購買確度に応じて点数付け |

新卒でマーケティング職に就くうえで持っておくと良いスキル
新卒でマーケティング職に就く際に持っておくといいスキルを紹介するので、参考にしてください。
データ分析力
データ分析力は、あらかじめ持っておくといいスキルといえるでしょう。マーケティングにおいて不可欠なのは、勘ではなく客観的な事実に基づいた意思決定だからです。その際には、データ分析力のスキルが欠かせません。
例えばGoogle AnalyticsやBIツール(Tableau, Power BI)を使いこなすことで、Webサイトの訪問者行動や施策の効果を可視化できます。これによりA/Bテストで施策の優劣を検証し、KPI(重要業績評価指標)達成に向けた改善点を特定できるでしょう。
さらにSQLやExcelでのデータ処理能力があれば、膨大なデータから必要な情報を抽出し、深く分析できます。より精度の高い戦略立案や施策改善が可能となり、マーケティング効果を最大化できるでしょう。
市場調査・リサーチスキル
マーケティングにおいて市場調査・リサーチスキルは、顧客や市場を深く理解し、「売れる仕組み」を構築する土台となるため非常に重要です。
顧客の潜在ニーズを把握するための、アンケートやインタビューを適切に設計できます。また競合分析やSWOT分析を通じて市場の機会や脅威・自社の強みおよび弱みを客観的に評価し、顧客セグメンテーションで最適なターゲットを見極められるでしょう。
データに基づいた精度の高い戦略立案が可能となり、勘に頼らない効果的なマーケティング活動を展開できます。
デジタルマーケティングスキル
マーケティングにおいてデジタルマーケティングスキルは、現代の顧客が情報を得る主要なチャネルがデジタル空間であるため必須です。
SEOで検索からの自然流入を増やしてX・InstagramなどのSNSマーケティングで潜在顧客との接点を広げ、ブランドの認知度や親近感を高めます。さらに、リスティング広告やディスプレイ広告の運用を通じて、ターゲットに効率的にアプローチし、直接的な成果にもつなげられるでしょう。
これらのスキルは、費用対効果の高い集客とデータに基づいた迅速な改善を可能にし、ビジネス成長の強力な推進力となります。
コンテンツ制作スキル
マーケティングにおいてコンテンツ制作スキルは、顧客との関係を築き、製品・サービスの価値を効果的に伝える上で不可欠です。
このスキルを持つことで、ターゲットの心を掴むコピーライティングで魅力的なメッセージを生み出し、動画編集やデザイン(Canva, Photoshop)で視覚的に引き込むコンテンツを制作できます。さらに、メールマーケティング(メルマガ、ステップメール)を通じて顧客にパーソナライズされた情報を提供かつ育成できるでしょう。
高品質なコンテンツは、顧客エンゲージメントを高めるとともにブランドへの信頼を醸成し、最終的に成果へ繋がる強力な武器となります。
コミュニケーション力
マーケティングにおいてコミュニケーション力は、成果を出すために不可欠なスキルとしてあげられるでしょう。マーケティングは一人では完結せず、多くの関係者と連携するからです。
高いプレゼンテーション能力があれば、自身の企画や分析結果を社内外に明確に伝え、合意形成を促し、プロジェクトを円滑に進められます。
また社内外の関係者との調整力は、限られたリソースの中でスムーズに業務を進める上で極めて重要です。さらに広告代理店やインフルエンサーとの交渉力は、費用対効果を最大化するために不可欠です。
このようにコミュニケーション力は戦略立案から成果最大化まで、マーケティングのあらゆるフェーズで効果を発揮します。
プロジェクト管理能力
マーケティングにおいてプロジェクト管理能力は、多岐にわたる施策を効率的に実行し、確実に成果を出すために不可欠なスキルです。
この能力を持つことで、Notion, Trello, Asanaなどのツールを使ったタスク管理で膨大な業務を整理かつ抜け漏れなく進行できます。
また常に変動する状況の中で進捗管理と優先順位付けを行うことで、限られたリソースを最も効果的な施策に集中させられます。さらに、関係部署や外部ベンダーとのスケジュール調整を円滑に行い、全体を滞りなく進行させることが可能です。
複雑なマーケティング活動を計画通りに進め、目標達成への確度を飛躍的に高められるために極めて重要なスキルといえるでしょう。
クリエイティブ思考と柔軟性
マーケティングにおいてクリエイティブ思考と柔軟性は、常に変化する市場で競争優位を築くために不可欠なスキルです。
これらのスキルがあることで最新トレンドをキャッチする力が磨かれ、時代のニーズに合った施策を迅速に考案できます。
また固定観念にとらわれない斬新なアイデアを考える発想力は、他社との差別化を図るとともに顧客の心に響くコンテンツなどを生み出す源泉となるでしょう。
さらに変化に適応する柔軟性があれば失敗から学び、戦略を修正しながら最適な結果の追求が可能です。
これらは、マーケティングを成功に導くための創造性と適応力を提供します。
マーケティング職で成功するためには、データ分析力とクリエイティブ思考の両方が必要です。数字に強いだけでも、アイデアが豊富なだけでも不十分です。両方のスキルをバランスよく身につけることが大切です。
マーケティングが新卒から人気な理由
マーケティングが新卒から人気な理由について確認していきましょう。
顧客に直接価値を届ける仕事ができる
マーケティングが新卒に人気なのは、顧客に直接価値を届ける仕事ができるからです。
市場調査で顧客ニーズを把握したうえで、製品開発支援・プロモーションなどを通じて、自らのアイデアが顧客の課題解決や喜びに直結することを実感できます。
単にモノを売るだけでなく、顧客の生活を豊かにする「価値創造」に深く関われる点が大きなやりがいと魅力を生んでいるため、新卒から人気があるのでしょう。
多様な知識とスキルを習得できる
多様な知識とスキルを習得できる点も、新卒から人気を集める理由のひとつです。ほかの職種と比較して、成長機会が多いからです。
マーケティングではデータ分析力・ブランド戦略立案・コミュニケーション力など、幅広い専門性が求められます。デジタル化の進展により、常に新しいツールや手法が登場するため、学び続けることで自身の市場価値を高め続けなければなりません。
これらのスキルは変化の激しい現代ビジネスにおいて、どの業界でも通用する普遍的な能力となり、自身のキャリアを大きく広げてくれるでしょう。このような点に魅力を感じる人が多いため、新卒から人気があるのです。
創造的な仕事に携われる
マーケティングが新卒に人気な理由は、創造的な仕事に深く携われる点にもあります。
マーケティングの仕事は、単に既存のものを売るだけではありません。顧客の心を動かす斬新なアイデアを生み出し、魅力的なコンテンツや広告を企画・制作できます。
市場調査から得たデータをもとにキャンペーンやサービスを形にするプロセスは、大きな達成感とやりがいをもたらすため、多くの学生にとって非常に魅力的なのでしょう。
影響力の大きな仕事に関われ、達成感を得やすい
マーケティングが新卒に人気なのは、事業や社会に大きな影響を与えられるからです。
市場調査からプロモーション実行まで、自身の仕事が企業の売上や顧客の購買行動に直結します。手掛けたキャンペーンが多くの人に響くことで、目に見える成果と大きな達成感を得られるでしょう。
自分の仕事が世の中に変化をもたらすという実感が、新卒にとって大きな魅力となっています。

新卒からマーケティングに携わるには?
新卒からマーケティングに携わるにはどうすればよいのか紹介するので、参考にしてください。
長期インターンに参加する
長期インターンに参加してみましょう。多くの企業ではマーケティングの採用において、即戦力になる人材を求めているからです。
マーケティングの採用では、実務経験が重視されます。しかし、学生の間にマーケティングの経験を積んでおくことは難しいでしょう。
長期インターンに参加しておけば、マーケティングの経験ができます。また、インターンを通じてマーケティングで必要となるスキルの習得も可能です。
採用面接でもほかの応募者との差別化が期待できるので、長期インターンに参加することをおすすめします。
マーケティングの基礎知識を身に付ける
マーケティングの基礎知識を身に付けることも、新卒でマーケティングに携わるためのポイントといえるでしょう。基礎知識を身に着けておけば、実際の業務に従事した際に即戦力として活躍できる可能性があるからです。
マーケティングが即戦力となる人材を求めていることは、すでに解説しました。新卒で即戦力となることは、現実問題として簡単なことではありません。しかし、基礎知識を身に着けておけば仮に採用された際には研修・実務でスムーズに理解が深められるでしょう。
市場調査・分析・戦略立案・マーケティングミックスなどは、マーケティングの基礎です。このような基礎を中心に、書籍などで習得および理解を深めておきましょう。
マーケティング関連の資格を取る
マーケティング関連の資格を取ることも、おすすめの方法です。
マーケティング関連の資格には、以下のようなものがあります。
2. マーケティング検定(内閣府認証)
3. Googleアナリティクス認定試験
4. Web解析士認定資格
5. 中小企業診断士
上記のなかでも1と2は、マーケティングの基礎力を証明する資格です。実務に役立つ知識・スキルを効率的に習得できます。
資格を取得しておけば、前述で紹介したマーケティングに関する基礎知識があることを証明できるだけではなく、ほかの応募者との差別化も期待できるでしょう。

新卒でマーケティングを募集中の企業一覧
企業名 | 株式会社ネオマーケティング |
概要 | ・生活者起点でマーケティング支援を行う総合会社 ・リサーチ事業が中心 ・デジタルマーケティングやPR施策など幅広い支援サービスを提供 ・独自のフレームワーク「4K」を活用して課題解決に貢献 |
年収 | 未公開 |
社員数 | 162名(2025年3月末日現在) |
ホームページ | https://corp.neo-m.jp/ |
企業名 | 株式会社サイバーエージェント |
概要 | ・日本のインターネットサービス企業 ・「メディア」「インターネット広告」「ゲーム」の3事業を柱に事業展開 ・マーケティングの新卒採用はビジネスコースにて実施 |
年収 | 504万円(年俸制) |
社員数 | 7,720人 |
ホームページ | https://www.cyberagent.co.jp/ |
企業名 | 株式会社リクルート |
概要 | ・大手IT企業 ・人材領域、販売領域など幅広い事業を展開 ・個人と企業を結びつけるマッチングプラットフォームを多数運営 |
年収 | 470万円 |
社員数 | 14,192人(2025年4月1日現在、アルバイト・パート含む) |
ホームページ | https://www.recruit.co.jp/ |
企業名 | 株式会社電通 |
概要 | ・世界でも有数の大手広告グループの一角を担う企業 ・広告主のマーケティング活動全般を多岐にわたってサポート ・クライアントの海外進出も支援 |
初任給 | 35万5,300円(2024年基準) |
社員数 | 5,283人(2024年12月末日現在) |
ホームページ | https://www.dentsu.co.jp/ |
企業名 | 株式会社博報堂 |
概要 | ・1895年に設立された100年以上の歴史を持つ大手広告代理店 ・生活者発想を基盤に課題解決やブランド戦略を支援 ・クリエイティブな発想力とデジタル領域における高い専門性が強み |
年収 | 360万円+手当および賞与(2024年度実績) |
社員数 | 3,711名(2024年4月1日現在) |
ホームページ | https://www.hakuhodo.co.jp/ |
どの会社でマーケティングを学ぶかを決めるステップ
どの会社でマーケティングを選ぶかを決めるステップを紹介します。
マーケティングで身に着けたいスキルを明確にする
マーケティングで身に着けたいスキルを明確化しましょう。マーケティングは業界を問わず、さまざまな企業で事業活動を支える職種です。しかし業種・業界によって必要とされるスキル・知識は微妙に異なり、すべて同じではありません。
スキル | 必要とする主な企業 |
デジタル広告関連 | Google、サイバーエージェント、オプトなど |
ブランディング | P&G、資生堂、ユニクロ |
市場分析・リサーチ | 電通総研 |
CRM | 楽天、Amazon |
上記はマーケティングで必要とされるスキルと、それを必要とする主な企業を一覧表にしたものです。
マーケティング関連のスキルは多種多様であることから、興味があるものをピックアップしてそれを必要とする企業をリサーチすると応募先が明確になるでしょう。
事業会社か否かを決める
事業会社か否かも、企業を選択するうえでの重要なポイントです。
事業会社であれば、自社が独自に展開する商品・サービスのマーケティングができます。仕事を通してブランド戦略・CRMなどが習得およびスキルアップができるでしょう。
一方で事業会社ではない場合、マーケティングの業務はクライアント会社の代理運用などがメインです。広告運用・プロモーションなどの知識・スキルが集中的に学べる機会が多いでしょう。
このように事業会社か否かによっても、マーケティング業務で必要および習得できるスキルには違いがあります。同じマーケティングであっても企業形態によってスキルに違いがあるので、前述で紹介したスキルとあわせて事業会社か否かにも注目するとよいでしょう。
会社の規模を考える
会社の規模を考えることも、選択ステップのひとつです。
会社規模 | 特徴 |
ベンチャー企業 | 裁量が大きい |
大手 | 裁量が小さい |
日系企業 | チームワークのマーケティング重視 |
外資系企業 | 成果主義のマーケティング重視 |
上記は、会社の規模に対するマーケティング関連の特徴を一覧表にしました。
例えばベンチャー企業の場合、裁量が大きい点が特徴です。マーケティング全般のスキルを、網羅的に習得する機会が多いでしょう。ただし広範囲の業務に対応しなければならないため、特定のスキルのみの向上はあまり期待できないかもしれません。
このように会社の規模によって違いがあるので、その違いを理解することが重要といえるでしょう。
育成環境を見る
マーケティングを学ぶ会社を決めるうえで、育成環境は必ずチェックしておいてください。環境が整っているか否かで、知識・スキルの習得スピードに差が生まれるからです。
・OJTの有無
・若手社員の業務内容
上記のようなポイントに注目して、育成環境を確認するとよいでしょう。なかでも若手社員の業務内容については、裁量のある仕事ができるか否かが重要です。実践に勝る学習はありません。裁量のある仕事を任されることで、研修やOJTで学んだ知識・スキルを着実にレベルアップできます。
企業研究の際は、若手社員のインタビュー記事や1日の業務スケジュールなどを確認すると、実際の働き方や成長環境がイメージしやすくなります。
新卒でマーケティング職に就く方法
新卒でマーケティング職に就く方法を紹介します。
マーケティング専用の採用枠がある企業を狙う
マーケティング専用の採用枠がある企業を狙うましょう。専用の採用枠がない企業と比較して、新卒でマーケティング職に従事できる確率が高くなるからです。
しかしゼロではないので、さまざまな業界・企業をチェックして専用の採用枠があるところを探してください。
新規事業やプロジェクト推進に力を入れている企業に応募する
新規事業・プロジェクト推進に力を入れている企業に応募することも、ひとつの方法です。
新規事業・プロジェクト推進では、マーケティングのスキル・知識が欠かせません。これらに積極的に力を入れている企業であれば、若手社員のマーケティング採用が期待できます。
また案件が増えれば、マーケティング部門が拡大されるかもしれません。人数の補充が行われる可能性が高く、異なる部署に配属されたとしても異動できるチャンスが生まれるでしょう。
マーケティングコンサルティング支援を行う企業に応募する
マーケティングのコンサルティング支援を行う企業に応募することも、おすすめの方法です。
例えばインターネットの普及に伴い、デジタルなどを活用したマーケティングに力を入れる企業が増えてきました。しかし専門的な知識・ノウハウがないため、外注するところが少なくありません。
マーケティング分野を得意とするコンサルティング会社に就職すれば、多種多様な業界・企業のマーケティングに携われるだけではなく、専門性も高められます。
インターンやアルバイトで実務経験を積み、実績をアピールする
新卒でマーケティング職を目指すなら、長期インターンシップが鍵です。
マーケティング総合会社などで実務経験を積み、基礎知識(市場調査、データ分析、プロモーションなど)を身につけましょう。
これらの具体的な経験は、即戦力を求める企業への強力なアピール材料となり、採用の可能性を大きく高めます。
SNS運用やブログなどで自主的にマーケティング活動を行う
現代では、SNS運用(Instagram, TikTokなど)やブログといった個人の副業を通じて、マーケティングの基礎を学べる環境があります。
学生のうちからこれらを実践することで、マーケティングに必要な基礎知識の習得が可能です。
これらの活動は実践的なポートフォリオとなり、自身のスキルや実績を具体的に示すことで、新卒でマーケティング職に就く可能性を大きく高められるでしょう。

よくある質問
文系出身でも新卒でマーケティング職に就職することはできますか?
文系出身でも新卒でマーケティング職に就くことは十分可能です。
コンテンツ制作やブランドマーケティングなど、文系の発想力や表現力が活きる分野は多数あります。
データ分析も重要ですが、学びながら携われるため、文系出身であることを心配する必要はありません。
新卒でマーケティングに就職するために有利な資格はありますか?
新卒でマーケティングに就職する際に有利になると考えられる主な資格は、以下の通りです。
・ウェブ解析士
・マーケティング検定
・デジタルマーケティング関連のオンライン講座修了証(Udemy、Courseraなど)
上記のようなものを中心に、就職活動の一環として取得しておくとよいでしょう。
マーケティング職のやりがいは何ですか?
マーケティング職はデータ分析で顧客を深く理解し、その上でクリエイティブなアイデアを形にできる点が醍醐味です。
自身の企画や施策が売上やブランド価値向上に直結し、その成果を実感できる点が大きなやりがいとなります。

まとめ
マーケティングの新卒採用事情について解説しました。
業界を問わずマーケティング分野は即戦力を求める傾向が高いため、新卒向けの採用は決して多くありません。
しかしまったくないわけではなく、新卒採用枠を設けて募集している企業もあります。ただしその場合は競争率が高くなるので、ほかの応募者との差別化が重要な鍵となるでしょう。
本記事で紹介した必要なスキル・コツなどを参考にして、新卒でのマーケティング就職を目指してください。
