
インターンシップは、就職前に業界・職種などを体験するためのものです。そのなかには有給制度が導入されているものがあり、お金をもらいながら実務経験・スキル習得ができます。
しかしインターンの参加を考えている人のなかには、「有給とはどれくらいもらえるの」「就活で有利になるのか」といった不安・疑問を抱えていることも少なくありません。
本記事では、有給インターンの全容について解説。有給制度の仕組み・メリット・注意点なども含めて網羅的に紹介するので、ぜひ参考にしてください。
有給のインターンとは
有給インターンとは、企業から給与が支払われるインターンシップを指します。
1日〜1週間程度の短期インターンシップでは、交通費や宿泊費が支給されることがあります。しかし一般的に、活動そのものに対する給与は支払われません。これは、短期インターンシップが主に企業理解や業界体験を目的としているためです。
一方で有給インターンは通常、数カ月〜1年以上にわたる長期インターンに多く見られます。企業は、インターン生を単なる参加者として考えていません。実際の業務に貢献する一員として迎え入れるため、その労働に対して給与を支払います。
学生は学業やプライベートと両立しながら収入を得られるだけでなく、より実践的なスキルや知識を習得できる貴重な機会となるでしょう。
企業側にとっても学生の能力や適性をじっくり見極め、将来の採用に繋げるという明確な目的があります。


有給のインターンの給料について
有給インターンの給料について確認していきましょう。
なぜ給料を貰えるのか
有給インターンで給料が発生するのは、学生が企業にとって労働力として貢献していると見なされるからです。有給インターンは、単なる企業説明や体験ではありません。社員と同様に具体的な業務やプロジェクトに携わり、成果を出すことが期待されます。
企業側は学生の労働力に対価を支払うことで、より高い責任感を持って業務に取り組んでもらうことを期待しています。また、有給インターンの実施には、即戦力となる人材を育成したいという目的もあります。
また報酬を支払うことで優秀な学生の応募を促し、将来の採用候補者を確保する狙いもあります。企業と学生双方にとってメリットのある関係性といえるでしょう。
時給はいくらなのか
有給インターンの時給は企業・職種・地域によって幅があり、一概にはいえません。一般的には、1,000円〜1,500円程度が相場とされています。一般的な学生アルバイトの時給と同等か、やや高めの水準といえるでしょう。
特に以下のような専門的なスキルが求められる業界・職種では、時給が2,000円を超えるケースも珍しくありません。
・デザイナー
・データ分析
・コンサルティング
また成果に応じてインセンティブが加算される場合もあり、能力や貢献度次第でさらに高収入を目指すことも可能です。
昇給はあるのか
有給インターンでの昇給の有無は、企業によって大きく異なります。
多くの企業では、インターンシップ期間中に明確な昇給制度は設けていません。しかし一部の企業では長期で継続的に貢献しているインターン生に対し、評価に応じて時給を上げる場合があります。
交通費は出るのか
有給インターンでの交通費の支給は、企業によって対応が分かれます。
多くの企業ではインターンシップへの参加を促す目的や、学生の負担を軽減するために全額または一部を支給するケースが多めです。しかし交通費の支給がない企業も存在するので、一概にはいえません。
有給のインターンに参加するメリット
有給インターンに参加するメリットを紹介します。
お金を稼ぎながら実際の業務を経験できる
有給インターンに参加するメリットは、お金を稼ぎながら実際の業務を経験できるという点です。学業と両立しながら企業で働くことで給料が得られるため、学生生活の経済的な負担を軽減できるでしょう。
企業の社員と同じように責任ある仕事に携わることで、実社会で通用する実践的な経験ができます。収入を得ながら将来のキャリアに直結する貴重な学びを得られるため、時間を有効活用したい学生にとって非常に魅力的な選択肢です。
スキルアップが可能である
実践的なスキルアップが可能である点も、有給インターンに参加する大きなメリットでしょう。企業で実際の業務に携わることで、学校の授業や独学では得られない専門知識や技術の習得が可能です。
例えばマーケティングインターンを選択すれば、データ分析ツールの実務経験ができます。またエンジニアインターンでは、プログラミング言語のスキルアップが期待できるでしょう。
OJT形式で業務を経験することで、即戦力として通用するスキルが効率的に磨かれます。
社会人からのフィードバックをもらうことができる
社会人からの質の高いフィードバックを直接もらえる点も、有給インターンに参加するメリットです。実際の業務を通して、社員やメンターから自身の仕事ぶりや能力について具体的な評価やアドバイスを受けられます。
このような経験は、学校の課題やアルバイトではなかなか得られません。社員からのフィードバックは、プロの視点からの貴重な意見です。自分の強みや改善すべき点を客観的に把握できるだけでなく、ビジネスの場で通用する考え方や振る舞いを学ぶ機会にもなります。
フィードバックを積極的に求めることで、将来のキャリア形成に役立つ知見も得られるでしょう。
就活を有利に進められる可能性がある
有給インターンに参加する大きなメリットとして、就職活動を有利に進められる可能性がある点もあげられます。長期にわたる実務経験は、あなたの実践的なスキルや仕事への意欲を示す強力なアピール材料です。
企業は、インターン経験のある学生を即戦力に近い人材と評価する傾向があります。ESや面接で具体的な業務経験や成果を語ることで、他の候補者と差別化を図れるでしょう。
さらにインターンシップを通じて企業から高評価を得られれば、早期選考や特別ルートでの採用につながることも少なくありません。志望企業への内定を勝ち取るうえで、有利に働くでしょう。


有給のインターンをガクチカにする時の書き方
有給インターンをガクチカにするときの書き方を紹介します。
取り組んだ背景と動機を記載する
有給インターンをガクチカとして語る際、まずはなぜそのインターンに取り組んだのかという背景と動機を具体的に記載しましょう。単に「インターンに参加しました」と述べるだけでは、十分とはいえません。どのような問題意識や興味関心から、その一歩を踏み出したのかを明確にすることが重要です。
具体的なきっかけを記してください。書き方の例は、以下の通りです。
・大学で学んだ特定の知識を実社会でどのように活かせるのか試したかったから
背景と動機がその後の行動や学びの深さを裏付ける根拠となり、採用担当者に説得力を持って伝わります。漠然とした理由ではなく、自身の言葉でインターンへの熱意と目的意識を表現しましょう。
行動や成果を数値で示す
有給インターンをガクチカとしてアピールする際、具体的な行動や成果を数値で示すことが重要です。単に「頑張りました」と述べるだけでは、採用担当者に貢献度や能力が伝わりません。
客観的な事実に基づいてあなたの達成度を明確にしましょう。以下は、伝え方の一例です。
・Webサイトの改善提案を行い、アクセス数を20%増加させた
数値を用いることで、企業にどのような価値をもたらしたのかが具体的に伝わります。高い説得力も持たせられるでしょう。
学んだことの応用を書く
学んだことを今後どう活かすかを伝えることも、有給インターンを「ガクチカ」としてアピールする際に重要といえるでしょう。その学びを将来のキャリア・入社後にどう役立てていきたいかを具体的に示すことで、成長性や企業への貢献意欲をアピールできます。
有給インターンで学んだスキルや経験を、具体的な行動につなげて語りましょう。採用担当者に、未来の戦力としてどれだけ期待できるかを印象付けられます。入社後の活躍を具体的にイメージさせるうえで効果的な方法です。
有給のインターンに参加する際の注意点
有給インターンに参加する際の注意点を紹介するので、参考にしてください。
責任が重い仕事を任せられる
有給インターンに参加する際の注意点として、責任が重い仕事を任せられることがあげられます。有給インターンでは企業が働きに対して対価を支払うため、学生であっても一人の戦力として扱われることが珍しくありません。
会社の業績に直結するようなプロジェクトの一員として、重要なタスクを任される可能性があります。これは、大きな成長の機会です。しかし、同時に大きなプレッシャーが伴う点も考慮しなければなりません。
勉学、部活、サークルとの両立が大変である
有給インターンに参加する際の注意点として、勉学・部活・サークルといったほかの活動との両立が大変になる点もあげられます。有給インターンは、週に数日勤務を求められることが多めです。学業や試験期間と重なると、時間的な制約が大きくなります。
責任ある業務を任されるため、スケジュール調整に苦労することも少なくありません。特に授業が忙しい時期や部活動の大会前などは、インターンシップとの兼ね合いを慎重に考える必要があります。
企業の就業規則に基づいて働く可能性がある
企業の就業規則が適用される点も、有給インターンに参加する際の注意点です。有給インターンは給与が発生する労働と見なされるため、企業は通常の従業員と同様に、インターン生にも就業規則を適用することが珍しくありません。
就業規則に含まれる主な規定は、以下の通りです。
・休憩時間
・休日
・残業
・守秘義務
・ハラスメント
場合によっては遅刻や欠勤に対する罰則・情報漏洩に関する責任なども発生する可能性があります。


有給のインターンの探し方
有給インターンの探し方を紹介します。
大手の求人サイトから探す
有給インターンを探す一般的な方法のひとつは、大手の求人サイトを活用することです。「Indeed」「エンゲージ」「Wantedly」などのサイトでは、多くの企業が有給インターンシップの募集を掲載しています。
これらのサイトでは、希望する職種・業界・勤務地・給与などの条件による絞り込み検索が可能です。希望・ライフスタイルなどにマッチしたインターンシップを、効率的に見つけられるでしょう。また、詳細な募集要項や応募方法も確認できます。
これらのサイトで幅広い情報を収集することから始めてみてください。
直接企業のホームページから探す
有給インターンを探す際、企業のホームページを直接調べることも有効な方法のひとつです。多くの企業では、採用情報セクション内で独自の有給インターンシッププログラムを掲載しています。
企業の公式サイトは、最新かつ最も正確な情報源です。インターンシップ先を選ぶ際に必要な募集期間・応募要件・プログラム内容まで、詳細に確認できます。
知人から紹介してもらう
有給インターンを探す際には、知人から紹介してもらう方法も有効です。知人から紹介してもらう方法を選択する場合、以下のような人をターゲットにしましょう。
・家族
・友人
すでに企業で働いている人やインターン経験者から、直接募集情報を教えてもらえることがあります。
知人からの紹介は、一般には公開されていない非公開求人や、企業が信頼できるルートで採用したいと考えている場合に選択されることが多い方法です。また、その企業のリアルな雰囲気や仕事内容について、事前に詳しい話を聞ける点も大きなメリットといえるでしょう。
人脈を積極的に活用することで、自分に合った有給インターンを見つけるチャンスが広がります。
有給のインターンについてのよくある質問
有給インターンについてのよくある質問を確認していきましょう。
有給のインターンと大学は本当に両立できる?
有給インターンと大学の両立は、十分可能です。
多くの企業が学生の学業に配慮し、柔軟なシフト制度や短時間勤務を導入しています。特にオンラインでの勤務が可能なインターンシップであれば通学時間も気にせず、効率的に時間を活用できるでしょう。
有給のインターンは社会保険に入らないといけないの?
有給インターンであっても、健康保険・厚生年金保険といった社会保険への加入義務は一般的な従業員と同様の条件が適用されます。具体的には週の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、通常の従業員の4分の3以上となる場合に加入が必要です。
ただし雇用保険については、昼間の学生は原則として加入が不要とされています。学生は本業として学業に取り組んでいるため、失業の状態には該当しないと見なされるためです。
しかし以下のようなケースに当てはまる場合は、例外的に加入義務が発生することもあります。
・夜間学・定時制の学生
・卒業後もインターン先で働く予定がある場合
まとめ
有給インターンシップについて解説しました。
有給インターンシップは、アルバイト並みまたはそれ以上の給料をもらいながら社会人経験が積める貴重な機会です。しかし学業との両立が難しいといった注意点は考慮しなければなりません。
本記事で紹介したメリット・注意点・探し方などを参考にして、有給インターン先を探してみてください。
