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企画職は、業界・業種を問わず花形のイメージがあります。そのため、新卒で企画職に就きたいと希望する人が多いです。
しかしその一方で、「新卒での企画職への就職は難しい」といった声が少なくありません。これから目指そうと考えている新卒にとってこのような声は、不安をあおる要因の一つになるでしょう。
本記事では、新卒者向けに企画職の全容について解説します。具体的な業務内容・就活での対策方法も含めて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
企画職の種類・内容
企画職の種類・仕事内容について確認していきましょう。
経営企画
経営企画は、企業全体の羅針盤となる役割を担う職種です。主な業務内容として、以下のようなものがあげられます。
業務 | 内容 |
事業環境の把握 | 市場分析、競合調査など |
自社の強み・弱みの明確化 | SWOT分析など |
経営戦略や事業計画の策定 | ・競合調査やSWOT分析に基づいて策定 ・中長期的なものが多め |
戦略の実効性の向上 | 進捗管理、予実分析、PDCAサイクルなど |
その他 | 新規事業立案、M&A戦略の検討、組織再編など |
商品企画
商品企画は、市場や消費者のニーズを捉えて商品の企画を立てる役割を担う職種です。主な業務内容として、以下のようなものがあげられるでしょう。
業務 | 内容 |
情報収集・市場調査 | ・トレンドや競合他社などのリサーチ ・潜在的なニーズや課題の発見 |
コンセプト立案 | ・収集した情報をもとに商品の核を明確化 ・ターゲット層や価格帯などの検討 |
企画作成およびプレゼンテーション | ・コンセプトに基づいた企画書作成 ・関係部署へのプレゼンテーション |
商品開発・製造との連携 | 商品の具現化をサポート |
プロモーション・販売戦略の立案 | ・効果的なプロモーションや販売戦略を立案 ・ターゲット層にあわせた魅力的な訴求方法を検討 |
効果測定・改善 | ・売上データやフィードバックなどを効果測定 ・次の企画に活かすための改善点を検討 |
販売促進企画
販売促進企画は、商品やサービスを顧客の購買行動につなげるためのプロモーション活動を企画・実行する部署です。
業務 | 内容 |
市場・顧客分析 | ・ターゲット顧客の購買行動やライフスタイルなどを深く理解 ・自社の立ち位置や優位性を把握 ・成功要因や改善点の洗い出し |
販促戦略の立案 | ・具体的な販促目的と目標を設定
・最適な販促手法の検討 ・効果的な販促プランの策定 |
具体的な販促施策の企画・実行 | キャンペーン企画、販促ツールの企画・制作、イベント企画・運営、デジタル販促など |
効果測定と改善 | ・データの収集および分析と効果測定 ・課題や改善点の発見 ・PDCAサイクルの実行 |
営業企画
営業企画は、企業全体の売上向上と営業活動の効率化を実現するための戦略立案や実行をサポートする職種です。
業務 | 内容 |
マーケット・顧客・製品分析 | 市場分析、競合分析、顧客分析、自社の製品およびサービス分析 |
営業戦略・戦術の立案 | ・分析結果に基づいた営業目標を設定 ・営業戦略の策定 ・営業戦術の企画 |
営業活動のサポート・仕組みづくり | ・営業資料やツールの作成と整備 ・営業プロセスの見直しや改善の提案 ・営業活動に必要な予算の策定と管理 |
効果測定とフィードバック | ・戦術成果を定量的に分析および評価 ・目標達成度の定期的な確認 ・問題点の特定および改善策の検討 |
広報企画
広報企画は、社内と社外双方向のコミュニケーションを通じて信頼関係を築くことを目指す部署です。
業務 | 内容 | |
社外広報 | 広報戦略の策定 | どのようなメッセージを誰にどのように伝えるかを明確化 |
プレスリリース作成・配信 | 世の中に伝えたい情報をまとめたプレスリリースを作成 | |
メディアリレーションズ | 報道機関との良好な関係を構築および維持 | |
Webサイト・SNS運用 | Webサイト・SNSなどを通じて企業情報や商品の魅力を発信 | |
危機管理広報 | 企業にとってマイナスとなる事態が発生した際の対応を計画・実行 | |
社内広報 | 社内報・社内Webサイトの企画・制作 | 社内向け情報を発信する媒体を企画・制作 |
社内イベントの企画・運営 | 社内のモチベーション向上やエンゲージメント強化を図るイベントの企画・運営 | |
情報共有の促進 | 全社員に円滑に伝えるための仕組みの構築 |

新卒で企画職に就くのは難しい?
新卒で企画職に就くことは難しいとの声がありますが、これは単なる噂ではありません。
現実問題として、新卒での企画職採用にはさまざまな困難が生じます。しかし、可能性はあります。
難しいといわれる理由を含めた企画職事情について、確認していきましょう。
新卒で企画職に就くことが難しい理由
新卒で企画職に就くことが難しいとされる理由は、多岐にわたる高度なスキルと経験が求められるためです。
特に、企業の経営や売上に直結する重要な役割を担うためです。そのため即戦力が期待される傾向が強く、未経験の新卒に任せるにはリスクがあると判断されがちです。
企画職とマーケティング職の違い
企画職は「新しい商品やサービス、事業をゼロから生み出す」役割を担います。市場や顧客の潜在ニーズを捉え、アイデアを具現化するための計画を立案するのが主な仕事です。
一方マーケティング職は、商品やサービスが売れる仕組みを作ることを役割としています。市場調査・分析に基づいた戦略を立てて実行・検証することが、主な業務内容です。企画職が生み出したものを、市場で成功させるための活動全般を指します。
通常は何年目から企画職に携われるのか
通常、新卒でいきなり企画の主要メンバーとして活躍することはまれです。多くの企業では、まず営業や販売職などで数年間の実務経験を積み、市場や自社製品・サービスへの理解を深めるのが一般的です。
この期間を経て早ければ3年目以降、一般的には5年目あたりから企画部門への異動となるでしょう。異動直後は、先輩の指導のもとで企画業務に携わるようになるケースが多いようです。個人の能力や企業の文化によっては1年目から企画に携われる例外もありますが、決して多くありません。

企画職に向いている人
企画職に向いている人の特徴などを紹介します。
コミュニケーション能力がある人
コミュニケーション能力がある人は、企画職向きです。
企画職は、新しいアイデアを形にするために多くの人と連携しなければなりません。多様な立場の人と円滑に意思疎通を図り、共通理解を築き、協力を引き出すコミュニケーション能力は、企画を実現するために欠かせない素養といえるでしょう。
情報に敏感で、トレンド調査ができる人
常に新しい価値を生み出すためには、世の中の動きや人々の関心事、技術の進化といった情報に敏感であることが不可欠です。
単に情報を集めるだけでなく、その背景や将来的な影響を予測するトレンド調査も行わなければなりません。
長く愛される企画や市場で成功する可能性の高い企画を生み出すためには、情報に敏感でトレンド調査ができる人が向いているといえるでしょう。
情報収集ができ、分析力がある人
情報収集ができて分析力がある人は、企画職に向いています。新しい価値を生み出すために、正確な情報に基づいた現状把握が不可欠だからです。
また、集めた情報から本質的な課題や潜在的な機会を見つけ出すための分析も行わなければなりません。数字の裏側にある意味を読み解き、複雑なデータを整理・統合することが重要です。
説得力のある企画や効果的な戦略を立案できるようになるため、この能力は企画職にとって核となる資質といえるでしょう。
商品に対して情熱を注げる人
商品に対して情熱を注げる人は、企画職をおすすめします。企画した商品やサービスを世に出し、成功させるという強い意志が求められるからです。そのためには、自分が手掛ける商品に対して深い情熱を持たなければなりません。
情熱があれば困難な課題に直面しても諦めずに解決策を探し、細部にまでこだわり抜くことも可能です。顧客にその商品の魅力や価値を伝えるうえでも企画者の情熱が伝わることで、より心に響くメッセージを発信できるでしょう。
・コミュニケーション能力がある
・情報に敏感でトレンド調査ができる
・情報収集と分析力がある
・商品に対して情熱を注げる

新卒で企画職に就くことのメリット・デメリット
新卒で企画職に就くことのメリットおよびデメリットを紹介します。
新卒で企画職に就くことのメリット
新卒で企画職に就く主なメリットは、以下の通りです。
・早期からビジネスの全体像を把握できる
・経営層に近い視点とスキルが身に付く
・アイデアを形にするやりがいを経験できる
・キャリアパスの選択肢が広がる
企画職は、さまざまな関連部署およびビジネスの幅広いフェーズに関わります。その過程のなかで、事業全体の流れや関係部署との連携の重要性の理解が深まるでしょう
また、経営層に向けたプレゼンテーションの機会は多めです。説得力のある提案をするためには、経営的な視点が不可欠です。
このようなさまざまな方向からの経験・スキルが身に付く点は、大きなメリットといえるでしょう。
新卒で企画職に就くことのデメリットと注意点
デメリットと注意点を理解しておくことで、ミスマッチを防ぐとともに入社後のキャリア成功率も上がるでしょう。
・実務経験・現場知識の不足
・プレッシャーが大きい
・地味な業務が多い
企画職は、即戦力となる人材を求める傾向が強い点が特徴です。そのため、入社後は実務経験・現場知識の不足から数々の苦労を強いられるケースが少なくありません。

新卒で企画職に就くための対策
新卒で企画職に就くための対策について、確認していきましょう。
インターンシップに参加して、現場を知る
新卒で企画職を目指すうえで、インターンシップへの参加は極めて有効な対策です。特に企画職は実務経験が重視されるため、学生のうちに現場の空気に触れて仕事内容を肌で感じることが重要といえます。
インターンシップでは、実践的なスキルを磨く機会が得られるでしょう。また社員との交流を通じて求められる資質などを理解し、入社後のミスマッチを防ぐことも可能です。
短期・長期やオンライン・オフラインなどさまざまな形式があるので、積極的に参加して自己アピールにつなげましょう。
SNSで成果を挙げる
SNSを活用して企画力や実行力をアピールし、具体的な成果も示すことも有効です。
例えば、特定のテーマで情報発信を続けてフォロワー数やエンゲージメントを増やしたとしましょう。この経験から、分析・コンテンツ企画・効果測定といった企画職に不可欠なスキルのアピールが可能です。
また、自身の興味関心に基づいて独自のコミュニティを立ち上げて運営することも、主体性や巻き込み力をアピールできるでしょう。

企画職として仕事をすることのやりがい
企画職としての仕事をすることのやりがいを紹介します。
自分のアイデアが商品に反映できる
企画職の大きなやりがいは、自分のアイデアが具体的な商品やサービスとして世の中に形になる瞬間を経験できる点です。頭の中のコンセプトや市場調査で得たヒントが、試行錯誤を経て実際に使えるものへと変わっていくプロセスは、まさに創造的な喜びそのものといえます。
その商品が顧客に使われている様子を見たり、感謝の声を聞いたりした時には、計り知れない達成感と満足感を得られるでしょう。
企画職は自分の情熱と努力が形になり、人々の生活に影響を与えて喜びを提供できる仕事です。この仕事を通じて得られた醍醐味は、次なる企画への強い原動力となるでしょう。
自分の力で会社の経営を動かせる
企画職の大きなやりがいは、自分の立案した企画が会社の経営を大きく動かす可能性を秘めている点です。特に経営企画や事業企画においては、数年先の事業展開や新規市場への参入、M&Aといった戦略を策定もしなければなりません。
これらの企画が承認され実行に移されることで、会社の売上向上・企業イメージの向上のような具体的な成果として現れます。
関係者を巻き込みながら実現させた企画が会社の成長に直結することは、他の職種では味わえない大きな達成感と貢献実感を企画職にもたらすでしょう。
強い影響力を持つことができる
企画職の大きなやりがいは、自分の仕事が会社や社会に対しての影響力が大きい点です。生み出した企画は、単にアイデアで終わりません。具体的な商品やサービス、事業戦略として現実の世界に展開されます。
例えば、市場のトレンドを捉えた新商品を企画としましょう。その新商品は消費者の購買行動を変え、競合他社にも影響を与えるかもしれません。
また企業全体の方向性を定める経営企画は、会社の未来そのものを形作ります。
このように自分の知恵と努力が世の中の動きや会社の成長に大きな影響を与えることは、企画職ならではの達成感とモチベーションにつながるでしょう。
・自分のアイデアが商品に反映される
・会社の経営を動かせる
・強い影響力を持つことができる

まとめ
新卒での企画職への就職事情について解説しました。
企画職は企業全体に関わる重要な役割を担っていることから、即戦力となる人材を求める傾向が強いです。新卒で即戦力となる人材は少ないため、企画職への就職は難しいといわれています。しかし、新卒採用枠がまったくないわけではありません。
本記事で紹介した企画職の種類や仕事内容、向いている人の特徴などを参考に、十分な準備をして新卒での企画職に挑戦してください。

