
就職活動や転職活動を行っている皆さんの中には、面接時の自己紹介に不安を感じている人もいらっしゃるのではないでしょうか?
「自己紹介がうまくできない」「面接で何を話せばいいかわからない」「自己紹介の例文やコツが知りたい」など、様々な悩みが出てくると思います。
面接における自己紹介は第一印象を左右する重要なポイントです。その後の面接の流れにも大きく影響するため、しっかりと準備して本番に臨みたいですよね。
そこでこの記事では、面接で印象の良い自己紹介をするための具体的なポイントや伝えるべきことなど、自己紹介の攻略法を実践的な例文とともに解説します。
インパクトのある自己紹介の作り方や面接時の話し方、練習方法も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
面接は第一印象が一番大事!
面接で第一印象が一番大事な理由は、第一印象が良いとその後の評価にプラスの効果をもたらすからです。
第一印象が良ければ、面接官はその後の会話で応募者の発言を好意的に受け取ってくれるようになります。多数の応募者の中でも印象深い存在として覚えてもらいやすくなり、高い評価につながります。
第一印象の重要性は、心理学でも研究されている「初頭効果」にも関係しています。以下で第一印象を考えるうえで重要な「初頭効果」について解説します。
初頭効果とは
この初頭効果は面接においても働きますので、最初の数分間で形成された第一印象が面接全体の評価に大きな影響を与えることが多くあります。
たとえば、面接の最初の自己紹介で明るくハキハキと好印象を与えることができれば、その後の面接でも「この人は積極的ではっきりと分かりやすく話すことができる」といった前提で評価されやすくなります。
第一印象が重要というのはイメージだけの話ではなく、「初頭効果」という心理学的な効果が影響しています。
なお、初頭効果とは別に「新近効果」という用語もあります。新近効果は最後に受けた印象を思い出しやすいという効果です。
面接の流れを知っておこう!
自己紹介で第一印象を良くするためには面接の流れを知っておくことが大切です。
面接の全体的な流れを知っておけば過度な緊張を防いで慌てずに自己紹介ができるようになるでしょう。
面接の流れ
一般的な面接は、入室から退室まで以下のような流れで進行します。
- 面接会場での受付
- 待合室で待機
- 入室、着席、自己紹介
- 面接の質疑応答
- 退室
この中でも特に重要なのが入室直後の挨拶と自己紹介の部分です。
入室時には「失礼いたします」と挨拶し、まず自分の氏名や大学名などを簡潔に伝え、その後に面接官の指示に従って着席します。
そうすると、多くの場合は面接官から「まずは自己紹介をお願いします」と求められるため、ここで改めて自己紹介を行います。
自己紹介は2回ある!
面接における自己紹介は、以下のように2つのタイミングで行うことを理解しておきましょう。どちらの自己紹介も第一印象に大きな影響を与えます。
- 入室してすぐの名前と大学名を伝える自己紹介
- 面接官から「自己紹介お願いします。」といわれ始める自己紹介
1つめは、入室してすぐに行う簡単な挨拶としての自己紹介です。「◯◯大学の◯◯と申します。本日はよろしくお願いいたします。」など大学名と自分の名前を伝えて、お辞儀をする流れが一般的です。
話す内容は決まっていますが、話し方や声の出し方、アイコンタクト、お辞儀のやり方などで第一印象は大きく変わります。
2つめの自己紹介は、着席後に面接官から「それでは自己紹介をお願いします。」と伝えられて始める自己紹介です。


自己紹介の目的とは
次に、面接で自己紹介を行う目的について見ていきましょう。
企業側が自己紹介で見ているポイントを以下で解説します。
応募者の第一印象を確認するため
企業が自己紹介を求める目的として重要なのが、応募者の第一印象を確認することです。
面接官は毎日多数の応募者の面接を行い評価していますので、最初の自己紹介で「この人はどのような人物か」という全体的な印象を把握しようとします。
具体的には、話す内容や声のトーン、表情、姿勢などから、その人の基本的な人柄や社会人としての素養を判断しています。
また、自己紹介をしっかりと準備して考えているか、自己紹介の構成や伝え方、自己分析をできているかといった点からも人柄や能力、適性を評価しています。
人柄を理解するため
面接官は自己紹介を通じて応募者の人柄を理解しようとしています。
自己紹介の内容や話し方から、履歴書に記載されていることと相違がないか、履歴書の内容と自己紹介の内容に一貫性があるかを確認し、どんな人なのかを正確に評価しようとします。
さらに、履歴書に記載された情報だけでは分からない、その人の人柄や価値観、考え方の傾向を把握して、社内の雰囲気に合うかといったことも確認しています。
コミュニケーション能力を見るため
面接官は自己紹介を聞くことで応募者のコミュニケーション能力も評価しています。
コミュニケーション能力はビジネスで必須の非常に重要なスキルですが、履歴書や学歴では判断できないため、面接を通じて評価されます。
面接の自己紹介では、限られた時間の中で要点を整理して話せるか、相手に分かりやすく伝えられるか、適切な言葉遣いができるかなどが見られています。
また、一方的に話すだけでなく、相手の反応を見ながら話すペースを調整したり、適度にアイコンタクトを取って相手の理解度を確認しながら話すなどができれば評価も高くなるでしょう。
応募者を覚えるため
多数の応募者の面接を行う面接官が、それぞれの応募者を覚えておくために自己紹介を行うという目的もあります。
特に有名な大企業では数百人といった多数の応募者がいることもあります。自己紹介のように応募者の個性が出やすい質問をしてできるだけ記憶に残そうとしています。
そのため、ありきたりな内容ではなく、自分らしいエピソードや特徴的な経験を盛り込むことで面接官に覚えてもらいやすくなります。
緊張を解くため
面接官が自己紹介を求めるもう1つの目的として応募者の緊張を解くためということがあります。
ほとんどの就活生にとって面接は非常に緊張する場面ですが、緊張しすぎるとその人の本来の人柄や能力を正しく見ることができなくなってしまいます。そこで、ウォーミングアップとして自己紹介をしてもらうことで、過度な緊張を解こうとしています。
応募者にとって自己紹介は自分自身のことなので準備しやすく、話しやすい内容です。自己紹介をしながら、自然な状態で話せるような雰囲気作りをするという面接官の配慮があるのです。
自己紹介で伝えるべきこと
ここからは、自己紹介で何を伝えるべきかについて解説します。
上位でお伝えした企業が自己紹介で見ているポイントを考慮して話す内容を決めることが大切です。
以下で何を伝えればよいか具体的に見ていきましょう。
基本情報
自己紹介の冒頭では、以下のような基本情報を伝えましょう。
- 氏名(フルネーム)
- 大学名
- 学部・学科名
- 学年
たとえば、「はじめまして。◯◯大学◯◯学部の◯◯と申します。本日はよろしくお願いいたします。」などと伝えましょう。
また、大学名などの名称についても正式名称を使い、省略せずに伝えましょう。
自己PRやガクチカに関連したアピールしたいこと
基本情報に続いて、簡潔な自己PRや学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)に関連したアピールしたい内容を伝えます。
たとえば、サークル活動、アルバイト、ボランティア、研究活動、資格取得など、自分が最もアピールしたい経験を選んで話すとよいでしょう。
また、必ずしもガクチカである必要はなく、自分の特技や性格を伝えるのもひとつの方法です。
「私は大学のプロジェクト型授業でチームリーダーを務め、メンバーの強みを引き出す力を身につけました」「英語学習を3年間毎朝継続し、TOEIC900点を達成した経験から、目標達成のための継続力が私の強みです」
入社意欲
自己紹介の締めくくりとして、自分の意気込みを伝えたり、心を込めた挨拶を行うなどで入社意欲を伝えましょう。
その企業に対する自分の志望度の高さを表現できる挨拶を行うことがポイントです。面接官に「この人は本当にうちの社で働きたいと考えているようだ。」と思ってもらうことが大切です。
たとえば、「御社の◯◯という理念に共感し、自分の強みを活かして貢献したいと考え、志望しました。本日はよろしくお願いいたします。」といった意気込みを伝え、最後に挨拶で締めくくりましょう。

自己紹介で押さえておきたいポイント
ここからは、自己紹介で押さえておきたい重要なポイントを話す内容と話し方に分けて詳しく解説します。
自己紹介のポイント~内容編~
まず、自己紹介で話す内容を考える際に気を付けるポイントを以下で解説します。
印象に残る内容にする
多くの応募者の中から面接官の記憶に残るためには、自己紹介を印象に残る内容にすることが大切です。
たとえば、自分を一言で表すキャッチフレーズを使ったり、自分の特徴がよく現れたエピソードを簡潔に紹介したりするという方法が考えられます。
また、失敗談から学んだことや、意外性のあるギャップを活用することも効果的です。
1分程度にまとめる
自己紹介の長さは1分程度、文字数では300文字程度にまとめるのが基本です。
面接の時間は限られているため、あまり自己紹介に時間をかけすぎると、重要な質問に答える時間がなくなってしまいます。
また、要点をおさえて簡潔にまとめる能力や、短い時間に多くの情報を分かりやすく配置する能力は、ビジネスでの報告や顧客対応で重要なスキルなので、面接官はこの能力も評価しています。
話したいことを絞る
自己紹介を1分程度にまとめるためには、話したいことを絞って厳選することが重要です。
最もアピールしたい重要なポイントを1〜2つに絞り、要点を簡潔に伝えることが大切です。
話したいことを絞る基準としては、自分の強みやアピールポイントのうち、その企業が求める人物像に最も合致するものを選ぶとよいでしょう。
自己紹介のポイント~話し方編~
次に、どのような話し方で自己紹介を行うことが求められるのか、表情やアイコンタクト、抑揚などの話し方のポイントを解説します。
表情を明るくする
話し方でまず気をつけたいのが、話すときの表情を明るくすることです。
明るい表情で話すと相手に良い印象を与えられるほか、自分自身の緊張も和らげることができます。面接の本番はどうしても緊張してしまいがちなので、意識して表情を明るくすることが重要です。
話している最中は口角を上げることを意識し、口を大きめに開いてゆっくりしたペースで話すと表情も明るくなります。
目を合わせる
話している最中に面接官と目を合わせることも重要です。
適度なアイコンタクトは誠実で自分に自信を持っている雰囲気になるため、面接時の印象も良くなります。
また、相手の目を見て話すことで面接官との間に信頼関係を築くことができるため、話の内容により説得力を持たせることができます。
身振り手振りをつける
適度な身振り手振りをつけることで、話の内容をより分かりやすく伝えることができます。言葉だけでは伝えにくい細かなニュアンスが面接官に伝わりやすくなるため、より印象的で記憶に残る自己紹介になります。
また、身振り手振りやジェスチャーを使うと棒読みになるのを防ぐことができます。自然と熱意や感情がこもった話し方になり印象も良くなるでしょう。
抑揚をつけゆっくり、はっきり話す
こちらも身振り手振りと似ていますが、抑揚をつけてゆっくり、はっきりと話すことで、内容が確実に相手に伝わり、落ち着いた印象を与えることができます。
面接本番で緊張してしまうと早口になりがちですが、意識的に話すペースを落として抑揚をつけることで、自分自身も落ち着きを取り戻すことができます。
また、面接で話す内容は事前に何を話すか考えておくことが多いため、意識して抑揚をつけないと棒読みになってしまいがちです。話し方の抑揚と身振り手振りを組み合わせて、熱意が伝わる伝え方を心がけましょう。

自己紹介はインパクトが大事?
ここからはインパクトのある自己紹介を考える方法を解説します。
すでにお伝えしたように自己紹介は第一印象に大きな影響を与えることと、大手企業は求人倍率が高く多数の応募者の面接が行われるため、記憶に残る印象的な自己紹介を行う必要があります。
以下で印象的な自己紹介を作る4つのポイントを紹介しますので参考にしてください。
一言で表すキャッチフレーズを追加しよう
自分を一言で表すキャッチフレーズを追加することで、面接官の印象に残りやすいインパクトのある自己紹介を作ることができます。
キャッチフレーズはキャッチコピーと呼ばれることもあり、相手に好印象を与えるための謳い文句のことです。企業の商品やサービスのキャッチフレーズをイメージすると分かりやすいでしょう。
面接でのキャッチフレーズは自分の特徴や強みをシンプルに表現するもので、四字熟語を使ったり、オリジナルの独自のフレーズを使って考えましょう。
具体的なエピソードを盛り込もう
自分の特徴がよく現れたエピソードを添えるとより伝わりやすくなります。自己紹介に具体的なエピソードが盛り込まれることで、キャッチフレーズの信憑性も高まり、インパクトもさらに大きくなります。
エピソードを盛り込むときは、特別なものである必要はありませんので、過去の実体験のうち自分の特徴がよく現れたものを選びましょう。
たとえば、サークル活動や学生バイトの経験でも問題ありません。「アルバイト先で来客が少なく暇な時間が多かったときに、お客様の声を聞くアンケートを行った結果、サービス改善につながり売上が20%向上しました。」といったエピソードを具体的な実績や数字を入れて伝えると効果的です。
ギャップを狙おう
自分の特徴を伝えるときに、ギャップを狙うことでインパクトを出すこともできます。
ギャップとは意外性のことで、見た目や第一印象と異なる意外な一面を紹介することで、面接官の興味を引くという方法です。
たとえば、「見た目は小柄で大人しそうと言われることが多いですが、大学時代にバンドのボーカルとして100人の前でライブを行った経験があります。」といった形で、外見と内面のギャップを狙うのもよいでしょう。
ここから、バンド活動でどのような体験をして、どのような学びを得たかという自己PRにつなげることもできます。
地元の話や失敗談で興味を惹こう
地元の話や失敗談でインパクトを出して面接官の興味を惹くのもおすすめです。親しみやすさを演出し、面接官との距離を縮める効果も期待できます。
とくに地元の企業に応募する際は地元ネタは効果的です。面接官との距離がぐっと近づき、印象に残りやすくなります。遠方の企業の面接でも、面接官の家族や友人が偶然その地域と縁があるなどで話が盛り上がることがあるかもしれません。
失敗談をユーモラスに話すことも好印象につながります。
たとえば、「計画を立てるのが得意で、友人との旅行で分刻みのスケジュールを作成したところ、まるで軍隊みたいと言われてしまいました」といった失敗談を考えてみましょう。

自己紹介の例文
ここからは、就職活動の面接で使える実践的な自己紹介の例文を紹介します。
応募する職種や業種ごとの自己紹介の例文を5つ掲載しますので参考にしてください。
総合職向けの自己紹介
技術職向けの自己紹介
営業職向けの自己紹介
金融業界向けの自己紹介
メーカー向けの自己紹介

やってはいけない!NGな自己紹介の例文
次に、面接の本番では望ましくないNGな自己紹介の例文を紹介します。
NGな理由別に3種類の望ましくない例文を記載しますので参考にしてください。
情報不足・抽象的な自己紹介
長くて焦点が分かりにくい自己紹介
企業視点が欠けた自己紹介

自己紹介の練習方法
ここまでは、第一印象が良好になる自己紹介の作り方を例文とともに解説してきました。
ここからは、自分が考えた自己紹介の練習方法を3つ紹介しますので参考にしてください。
動画にとってみる
気軽にできる練習方法として、スマホやパソコンのカメラを使って動画に撮ってみる方法がおすすめです。
自己紹介の内容を考えたら、まず紙を見ずに話せるようになるまで練習します。自己紹介で話す内容が頭に入ったら、スマホなどのカメラに向かって自己紹介を行い、その様子を録画してみましょう。
ポイントはカメラのレンズを面接官の目に見立てて、適度にアイコンタクトをしながら練習することです。カメラを設置する位置は面接室を想定して、面接官との距離や目線の高さが同じになるように設置しましょう。
録画した映像を見てみて、以下のようなポイントをチェックしてみましょう。
- 話す内容は聞き取りやすいか
- 1分間前後にまとまっているか
- 話すスピードが速すぎないか、遅すぎないか
- 明るい表情でハキハキと話せているか
- 適度にアイコンタクトをとっているか
- 適度に身振り手振りをつけているか
- 棒読みになっておらず、熱意が伝わるか
友達や家族に見てもらう
友達や家族に面接官役をしてもらい、自己紹介を見てもらう方法もおすすめです。
動画に撮って練習する方法はスマホなどのカメラが相手なので、慣れるとそれほど緊張せずにできるようになります。しかし、人を相手に自己紹介を行うと恥ずかしさも出てくるため、カメラに向かって話すより緊張しやすくなります。
友人や家族を相手に練習した後に、簡単に感想を伝えてもらうとよいでしょう。
キャリアセンターや就職エージェントを利用する
キャリアセンターまたは就職エージェントを利用して、就活の専門知識を持つスタッフに指導してもらう方法もあります。
大学のキャリアセンターは在学中なら無料で利用できて、自己紹介をはじめとした面接対策を総合的にサポートしてもらえます。本番形式の模擬面接を実施してもらうこともできますので、緊張ししやすい人は場数を踏んでおくとよいでしょう。
就職エージェントでは志望先の業界や職種に合わせた細かい面接対策が期待できます。有名な企業を志望する場合は、その企業で特有の面接の流れやよく聞かれる質問など、一歩踏み込んだ実践的な対策ができる場合もありますので相談してみるとよいでしょう。

まとめ
この記事では、面接の自己紹介で好印象を得る方法について、自己紹介で伝える内容やポイントを詳しく解説しました。
面接での自己紹介は第一印象に大きく影響するため非常に重要なポイントです。第一印象が良くなると、その後の質問に対する受け答えも好意的に受け取ってもらいやすくなり、面接全体がスムーズに進みやすくなります。
また、多数の応募者の中で忘れられないためには、記憶に残りやすい自己紹介にする工夫が必要です。自分の特徴を表すキャッチフレーズを考えたり、ギャップを狙う方法、地元の話などを盛り込んでみましょう。
ぜひこの記事でまとめたことを参考にしていただき、面接官の心をつかむ魅力的な自己紹介を考えてみてください。
