
新卒で転職を考えているけど、「入社して間もない会社を辞めて大丈夫?」「次の会社も合わなかったらどうしよう…」と不安を感じている方も多いでしょう。
新卒の転職にはリスクもあるため慎重な判断が必要ですが、メリットもあるため、将来のより良いキャリアにつながることもあります。
この記事では、新卒の転職のメリットやデメリット、リスクなど、気になる事情について詳しく解説します。
新卒の転職活動の進め方や失敗しないためのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
新卒で転職するのはアリ?メリット・デメリットで比較
まず、新卒で転職することについてのメリットとデメリットを比較してみましょう。
転職をすることで得られるメリットだけでなく、デメリットについてもしっかりと把握しておくことが大切です。
メリット1:多様な職種にチャレンジできる
新卒で転職することで多様な職種にチャレンジできるのがメリットです。
一般的に、新卒で入社してから3年以内の転職は「第二新卒」となり、ポテンシャル採用の求人に応募できます。ポテンシャル採用は20代前半でこれから新しい知識を習得する新卒に準ずるフレッシュな人材と扱われるため、未経験の職種でも応募することができます。
新卒で入社した会社で経験した職種が自分に向いていなかったり、本当にやりたい職種が別にある場合は、転職をすることで自分に合った新しい職種にチャレンジできるのがメリットです。
メリット2:職場環境を変えるチャンス
転職が成功すれば職場環境を変えることができるのもメリットです。
職場環境には、職種や業務内容、上司や同僚との人間関係や社内の価値観、昇給制度やキャリアパスなどがあります。
このような環境がどうしても自分に合わない場合、我慢し続けていると大きなストレスになってしまいます。しかし、新入社員の立場では、個人の努力で職場環境を変えることはできません。
そこで、自分に合った環境の職場に転職することで、根本的に解決することができます。
デメリット1:応募できる企業がかなり少ない
新卒の転職活動では、一般的な中途採用と比べて応募できる企業が少なくなるというデメリットがあります。
これは、新卒採用後はどの企業も人数が充足しているため、中途採用の可能性が他の季節と比べてかなり低くなるからです。新卒採用は主に4月入社の人材を採用するため、5月以降に転職活動を始めると、特に求人数が少なくなります。
また、第二新卒向けの求人があっても、新卒2年目〜3年目の応募者と比較されると社会人経験が短いため、新卒1年目の場合は選択肢がさらに限られる場合があります。
デメリット2:年収が下がる可能性がある
新卒の転職では、職場が変わることで年収が下がる可能性があるのもデメリットです。
基本的に、新卒採用でその後すぐに転職を行う場合は、転職によりステップアップして前の会社より年収が上がるということは期待できません。
これは、新卒1年目では社会人経験やスキルが身についていないため、即戦力とは見なされないからです。転職先でも新人扱いとなることが多く、前職で昇給していた場合はその分がリセットされるため年収が下がってしまいます。
デメリット3:選考難易度が上がる
新卒1年目での転職は、選考難易度が通常の転職よりも上がる可能性があります。「新卒1年目で転職を行っている」というレッテルによって、早期離職のリスクを懸念されやすくなるからです。
採用担当者としては「前職と同じようにまたすぐに辞めてしまうのではないか?」と不安を抱きやすく、一般的な中途採用の転職者よりも厳しい目で選考を行う場合があります。

新卒転職を考えた方がいいケースとは?
上記のように新卒転職にはメリットとデメリットの両方がありますので、慎重に検討すべきです。
以下で、新卒転職を考えた方がいいケースとはどのような場合なのか見ていきましょう。
①社風や働き方が合わない
社風や働き方が合わない場合は、転職を考えた方がよいでしょう。
実際に働いてみて、社風や周囲の人の働き方が想定と大きく違っていた、というのはよくある話です。
このような場合、長期的に働くのが負担になってしまうケースが多いため、転職を考えるのも選択肢の1つです。どうしても「合わない環境」で無理をしすぎると、心身の不調につながる可能性もあります。
社風は社内文化は個人の努力では変えられないため、合わないものを無理に受け入れて我慢を続けるのは大きなリスクになります。
②時間外労働・残業が多い
明らかに時間外労働や残業が多すぎる場合も転職を考えた方がよいでしょう。
時間外労働の多さはそのまま身体的、精神的な負担の多さにつながります。体を壊してしまう可能性も高くなるため、辛さを感じたら思い切ってすぐに転職するのも方法です。
たとえば、残業が当たり前で毎日終電近くまで働いていたり、休日に出勤することが多かったりという生活を続けると、慢性的な睡眠不足や過労のリスクが高まります。
③自分のやりたいことが変わった
学生時代は気づかなかった自分が本当にやりたいことが、社会人になってから見つかることもあります。
本当の自分のやりたいことが別にある場合は、その分野に進むことを考えると早めに行動した方がよいと言えます。
若いうちの転職活動はポテンシャル採用の対象になるため、キャリアチェンジの柔軟性があります。選択肢も多いため、転職するなら早い方が有利な場合が多いでしょう。

要注意!逆に新卒転職について慎重になった方がいいケース
逆に、新卒転職について慎重になった方がよい要注意なケースを解説します。
①やりたいと思った仕事ができない
単にやりたいと思っていた仕事ができないだけの場合は、すぐに転職を考えるのではなく、まずは社内で解決策がないか考えてみましょう。
やりたい仕事に対して別の仕事が振られていたり、希望と異なる部署に配属された場合、時間の経過とともに状況が改善される可能性があります。
特に新卒の場合は、最初は基礎的な業務から始まり、少しずつ責任ある仕事を任されるようになるのが一般的です。また、経験を積むことで配属される部署が変わったり、希望する仕事ができるようになる可能性もあります。
すぐに転職を考えることには慎重になり、まずは上司や人事などに相談してみるとよいでしょう。
②思うように結果が出ない
新卒1年目で結果が出ないことは珍しくありません。思うように結果が出ないというだけで転職を考えている場合は、慎重になることをおすすめします。
一般的に、新卒1年目は社会人としての基礎を学ぶ時期なので、すぐに大きな成果を出すことを求められるわけではありません。
業務を学ぶ過程で失敗があったとしても、そこから学んで成長していく姿勢があれば、将来的には大きな結果を出すことができるでしょう。
③仕事がつまらない・飽きた
仕事がつまらない・飽きたということが理由の場合も、転職には慎重になった方がよいでしょう。
仕事に対するモチベーションが動機となっている場合、転職活動の方向性が曖昧になってしまいがちです。転職理由や志望動機に説得力が出ないため、転職活動がうまくいかない可能性も十分に考えられます。

コラム:新卒転職は常にリスクが伴う
上記で新卒転職のデメリットをお伝えしたように、新卒で採用された後に早い段階で転職することにはリスクが伴います。
特に以下の2つのリスクについては、しっかりと理解したうえで検討しましょう。
- すぐに辞めると思われてしまう
- 待遇が下がる可能性がある
新卒転職では新卒で入社した後に数ヶ月〜1年程度の早い段階で転職を希望することになります。履歴書や職務経歴書でも目立ってしまうため、採用担当者に「うちに来ても定着しないのでは?」と思われやすいという注意点があります。
企業の立場で考えると、人材を社員を採用して教育するには時間もお金もかかるため、できるだけ長く働いてくれる人材を採用したいと考えるのが当然です。新卒転職はこの点で大きく不利になりますので、転職理由や志望動機をしっかりと考えて面接に臨みましょう。
新卒の転職に失敗しないために!失敗しなくなるポイントを4点解説!
慎重に検討した結果、転職を決意したなら、現在の仕事を続けながら具体的な転職活動をスタートすることになります。
以下で、新卒の転職で失敗しないための4つのポイントを解説しますので参考にしてください。
①転職活動中は仕事を辞めない
まず、転職活動中は現在の仕事を辞めないよう注意しましょう。
仕事を辞めてから転職活動を行うのではなく、現在の仕事を続けながら転職活動を行い、新しい職場が決まってから辞めるという流れにすることが大切です。
仕事を辞めてからの転職となると、再就職までの収入が途絶えてしまい、生活費など経済的な不安が大きくなってしまいます。そうすると、焦って転職先を決めてしまい、本来の希望とは異なる企業に妥協して入社してしまうリスクもあります。
また、転職活動が長引くと空白期間が増え、無職の期間が長くなってしまうことで採用において不利になるケースがあります。
②転職理由を明確に言葉に起こす
新卒転職では、転職理由の明確化が非常に重要なポイントとなります。新卒で入社した会社から早い段階で他社に転職するため、強い動機づけが必要です。なぜ転職するのか、理由を整理して明確に言葉に起こしましょう。
転職理由を明確にすることで、企業側に対して早期退職リスクへの不安を払拭し、安心感を与えることができます。転職活動で応募する企業の条件も明確化されますので、自分に合う会社が判断しやすくなるのもメリットです。
単なる前職への不満ではなく、キャリアの方向性や将来実現したいことを明確にして、転職理由や志望動機として言葉に起こしてみましょう。
③企業研究・情報収集を入念に行う
新卒転職においては企業研究と情報収集も重要です。
特に、現在の職場が合わないことが理由で転職を考えている場合、企業研究や情報収集が不足していると同じ過ちを繰り返す可能性があります。
たとえば、残業や休日出勤があまりにも多すぎて転職を検討する場合、新しい職場では同じ状況を回避することが最優先となります。そのためには、応募する会社の評判などについて徹底的に情報収集する必要があるでしょう。
また、転職活動の面接で志望動機や自己PRをするときも、企業研究をしっかりと行っていれば明確で説得力のあるアピールができるようになります。
④自己分析やスキルの見直しを実施する
自己分析やスキルの見直しも実施しましょう。
中途採用で転職する場合、通常は社会人を通しての経験やキャリアが重視されますが、新卒の場合その強みをうまく活かせません。そこで、自己分析をしっかりと行い、資質や性格的な強みを発見することが必要です。

実際にどのタイミングで転職活動は始めるべき?
転職活動は自分が決めた任意のタイミングでスタートすることになりますので、具体的な行動をいつから始めるかという問題もあります。
以下で、実際に転職活動を始めるべきなのはどのタイミングなのかを解説します。
①自分のやりたい分野が別にあると明確になったとき
新卒で入社時とはやりたいことが変わった場合で、部署移動などでどうにもならず、職種そのものを変える必要がある場合は、早めに転職活動を開始することをおすすめします。
特に、未経験分野への転職の場合、年齢が若いほど新しい分野の知識やスキルを吸収しやすくなります。今後のキャリア形成を考えた場合、早い段階で本当にやりたいことができる環境に移ったほうがよいでしょう。
②残業・時間外労働に限界を感じたとき
残業・時間外労働に限界を感じたときは、身体的、精神的苦痛から身を守る目的で、早めに転職活動を開始した方がよいでしょう。過度な残業や時間外労働は健康を害する可能性がありますので注意してください。
③転職計画を綿密に立案できたとき
転職を前々から考えていて、転職計画を綿密に立案できたら、そのタイミングで転職活動を始めても問題ないでしょう。
まずは転職計画として、転職理由の明確化、将来のビジョンの整理、業界研究や企業研究、転職先の希望条件と応募企業のリストアップなどを行いましょう。
逆に、計画が明確でない状態で転職活動を始めると、方向性が定まらず上手くいかないリスクがあります。まずは現在の仕事を続けながら、しっかりとした転職計画を考えることから始めましょう。
転職の相談は実際にどこにすべき?
新卒で転職活動をするときに、分からないことや不安な点が出てきた場合、どこに相談すればよいのでしょうか?
以下で4つの相談先について、メリットや注意点などを解説します。
①転職エージェント
転職エージェントは、専門的な転職サポートを受けたい方に最適な相談先です。
特に、転職先を早急に見つけたいなどの場合は、転職に関しての知識を網羅している専門家に相談するのが一番早いでしょう。
一般に公開されていない非公開求人を紹介してもらえる可能性もあるため、効果的に求人を探すことができます。
②ハローワーク
ハローワークなどの公共サービスを利用するのもひとつの方法です。
ハローワークは無料で利用できる相談先で、地域ごとの求人情報が豊富という特徴があります。転職活動の不明点を相談したり、アドバイスをもらうなど基本的なサポートを受けることができます。職業訓練の紹介を受けることもできますので、転職のためのスキルアップをしたい場合も便利です。
③職場の同僚・先輩
職場の同僚や上司は同業種の転職に関して一定の知識を持っている場合もありますので、的確なアドバイスがもらえるケースがあります。
同じ環境で働いているからこそ、仕事内容や社風、社内の人間関係なども含めた詳しい相談をすることができます。特に、先輩の場合は業界特有の転職事情や企業情報を豊富に持っている可能性があります。
実際に転職した経験がある先輩からは、リアルな体験談やアドバイスを聞くことができます。転職のタイミングや転職先選びのポイント、転職活動中の注意点なども相談できるでしょう。
逆に、同僚や先輩に今の職場に残っている理由を聞いてみることで、この会社での勤務を続けた場合のメリットなども検討できるかもしれません。
④家族、友人
家族や友人に相談することも1つの方法です。
家族は、子供の頃からの自分の性格や価値観をよく理解してくれていますので、転職について的確なアドバイスをしてくれるでしょう。転職で収入がどうなるか、生活への経済的な影響についても具体的に相談できるのもよいところです。
友人に相談すれば率直な意見を聞くことができますので、不安を解消することにもつながるでしょう。特に同年代の友人の場合は、その人も転職に興味を持っている可能性もあるため、有意義な情報交換ができるかもしれません。

新卒転職は周囲にどう伝えるのが正解?関係性別に解説
ここからは、新卒で転職をする際の、周囲の人への伝え方を解説します。
転職を決意したときや、実際に転職することが決まったときに、家族や友人、上司など周囲の人にどのように伝えるべきなのか見ていきましょう。
①上司や同僚
上司や同僚に伝える場合は、その内容によって伝えるべきタイミングが変わります。
まだ転職するかどうか迷っていて、上司や同僚の意見を聞きたい場合は、なるべく早めに相談するのがよいでしょう。転職するか悩んでいる間は、具体的な転職活動を始められませんし、現在の職場の業務にも集中しにくくなってしまうからです。
②親や家族
親や家族には、十分な準備をして転職について伝えましょう。親の世代にとって、入社1年目での退職は一般的ではないため、不安な思いをさせてしまい、感情的に反対される可能性があるからです。
親に転職について理解してもらうためには、まずは軽い気持ちで転職するのではないということをしっかりと伝える必要があります。転職理由を整理して明確化し、転職後の見通しや今後の計画についても伝えられるようにしておきましょう。
③友人などプライベートの関係
友人などプライベートの関係の場合は、基本的にはどのタイミングで伝えても問題ありませんが、伝える相手を慎重に選びましょう。相手によっては言葉をかけられる可能性もありますので注意が必要です。
転職について話すのは信頼できる相手だけにして、安易にSNSに投稿するのも避けた方がよいでしょう。
コラム:新卒の転職は難しくないかも?
ここまで新卒の転職のデメリットや慎重になるべき理由についても解説してきましたが、しっかりとした対策を行えば不可能ではありません。
というのも、新卒の転職希望者には以下のようなメリットや強みがあるからです。
- 教育コストが削減できる
- 価値観や働き方に柔軟性がある
新卒の転職希望者は、期間は短いながら企業で働いた経験があるため、ビジネスマナーや心構えなど社会人としての基礎が身についています。たとえば、スーツなどの身だしなみ、名詞の渡し方、メールや電話での連絡方法、敬語などの言葉遣いをゼロから教える必要がありません。初期の教育にかかる時間や費用などのコストが削減できるのは、特に中小企業にとってはメリットになるでしょう。
一方で、新卒転職の場合、前職の会社で働いた期間が短いため、働き方の考え方やクセがまだ固定されていないため、自社のやり方や社内文化を吸収しやすいというメリットもあります。社会人になって間もない新卒転職の場合は、この点も大きな強みになります。
現在の仕事を続けながらの転職活動は大変な面もありますが、自己分析や企業研究、転職理由や志望動機の明確化など必要な対策を行い、新卒転職を成功させましょう。

まとめ
この記事では、新卒で転職活動についての気になる事情、転職活動の進め方などを詳しく解説しました。
新卒で入社した会社がどうしても合わなかったり、自分のやりたいことが変わった場合、残業や時間外労働に限界を感じたときは、思い切って転職するのも1つの選択肢です。
転職で職場環境を大きく変えて、本当に自分がやりたい職種や業務に携わることができれば、思い描く将来のキャリアに大きく近づくことができるでしょう。
ぜひこの記事でまとめたことを参考にしていただき、転職活動を検討する際に役立ててください。

