今回は就職活動で必須となるSPI対策について詳しく解説します。問題集の選び方から対策方法まで、これから対策を始める方に向けて分かりやすくお伝えします。
就職活動のためのSPI対策を始めようと思っても、問題集の種類が多すぎて選べないですよね。
本格的な勉強を始める前に、問題集選びでつまずいてしまう方も多いのではないでしょうか?
この記事では、これからSPI対策を始める人向けに、おすすめの問題集の選び方や対策の進め方を解説します。
そもそもSPIとは何か
SPIとはリクルートが開発した適性検査のことで、「Synthetic Personality Inventory」の頭文字を取った名称です。
SPIは働くうえで必要となる基礎的な能力を測定する「能力検査」と、人となりを知るための「性格検査」の二つで構成されます。約1時間前後のテストを実施することで、応募者の知的能力や性格の特徴や考え方、行動の特性を総合的に判断することができます。


SPIの検査内容ってどんなものがある?
SPIの検査内容について具体的に見ていきましょう。
SPIには大きく分けて「性格検査」と「能力検査」の2種類の検査があります。
以下でそれぞれの内容や特徴を解説します。
性格検査
応募者の性格の特徴や考え方の傾向、仕事にどのように取り組むのかといった姿勢が分かる心理テストのような検査です。具体的には、「対人関係」「仕事に対する姿勢」「行動の傾向」などがチェックされ、客観的に評価されます。
日常の行動や考え方に関する質問に、4段階で自分の考えに当てはまる度合いを選択していく形式です。心理テストのように自分の直感にしたがって答えていき、制限時間内にできるだけ多くの質問に解答します。
能力検査
企業で活躍するために求められる基本的な能力を客観的に調べるためのテストです。大きく分けて「基礎能力検査」「英語能力検査」「構造的把握力検査」の3つの種類があります。
中学校から高校レベルの問題が出題され、日本語の運用や理解力、数学的な計算能力や論理的な能力を調べることができます。


SPIはどうやって受ける?4つの受験形式を解説!
次にSPIの受験形式について見ていきましょう。
SPIには以下で解説する4種類の形式があります。
形式 | 受験方法 | 特徴 |
---|---|---|
テストセンター | 企業が指定する会場でパソコンを使って受験 | 専用のパソコンで回答する |
Webテスティング | 自宅や大学などからインターネットで受験 | 受験日時や場所を自由に選べる |
ペーパーテスティング | 企業が指定する会場で受験する筆記試験 | マークシート形式で受験 |
インハウスCBT | 企業のオフィスで受験 | SPI受験と同日に面接も実施されることが多い |
①テストセンターでの受験
テストセンターは、リクルートが運営する専用の試験会場で受験する形式です。
東京や大阪など全国の主要都市に常設の会場があり、新卒採用の時期になると臨時の会場も設置されます。
受験日時に会場に行き、会場に設置されたパソコンを使って、画面に表示される問題に回答していく流れで受験します。
②Webテスティングでの受験
自分のパソコンを使って自宅で受験したり、学校のパソコンから受験する形式です。
指定された期間の中で自分が好きな時間・場所を選ぶことができ、試験監督の監視もないため、リラックスした環境で受験できるのが特徴です。
③ペーパーテスティングでの受験
応募先の企業が用意した会場で、鉛筆などの筆記用具を使って紙の問題用紙と解答用紙で受験する形式です。
パソコンを使った形式とは異なり、問題用紙と回答用紙が配られるため、全体の問題を最初に把握できるという特徴があります。得意な問題に時間をかけて、苦手な分野を飛ばすなどの時間配分がしやすい形式です。
④インハウスCBTでの受験
応募先の企業が会場となり、企業内のパソコンで受験する形式です。
出題方法や問題の内容はテストセンター形式と同じなので、パソコンを使った回答に慣れておく必要があります。


コラム:何で企業はSPIを導入している?
企業がSPIを導入する理由は、面接や履歴書だけでは判断できない応募者の性格的な特徴や能力を客観的に測定するためです。
SPI以外の選考過程にはエントリーシートや履歴書などの応募書類の提出や面接などがあります、しかし書類や短時間の面接だけでは、その人の学力や知識、考え方などを正確に知ることはできません。
そこで、SPIを活用することで、企業は応募者の「適性や性格特性の把握」「企業との相性の測定」を行っています。社会人として働くために必要な基礎的な能力を持っているかの確認を行い、同時に企業文化にマッチする人材を見極め、ミスマッチを防いでいます。
大学受験のように試験の点数で採用が決まるというものではありませんが、結果が良ければプラスに働くため、しっかり勉強して高得点を目指しましょう。
SPI対策をする上での注意点
SPI対策を効果的に進めるためには、いくつか重要な注意点があります。
以下の5つのポイントをおさえて、限られた時間でしっかりと実力をつけていきましょう。

出題形式を徹底して把握しよう
まずは応募先の企業がどの出題形式を採用しているかを調べましょう。出題形式ごとの特徴を把握して、それに応じた対策を行うことが大切です。
たとえば、パソコンで回答するテストセンターやインハウスCBTは、受験者の回答状況に応じて問題の数や難易度が変化する「適応型テスト」となっています。1問ごとに制限時間があり、前の問題に戻ることはできません。
Webテスティングでは電卓が使用可能で、電卓を使うことが前提の問題が出ますが、その他の形式では電卓が使えないという違いもあります。
問題集は1冊を何周も解こう
たくさんのSPI問題集が販売されていますが、複数の対策本に手を出すと効率が悪くなる場合があります。
SPIでは同じような形式のテンプレート問題が多用されるため、一冊を何周もして問題に慣れることが必要です。同じ問題を繰り返し解いて完璧に理解することで、問題形式に慣れて本番でも実力を発揮しやすくなります。
苦手な問題は反復しよう
SPIではテンプレート問題が多く出題されるため、苦手問題の克服は大変重要です。
同じパターンの問題が出題されやすいということは、苦手な分野でも反復することで克服しやすいということでもあります。
最初は苦手意識があっても出題パターンに慣れることで解き方が分かるようになってきます。苦手分野を放置せず、集中的に対策することで全体の得点向上につながります。
暗記系は隙間時間を活用しよう
SPIでは語彙問題や慣用句、四字熟語などの暗記系の問題も出ます。
暗記系は時間も多くかかるため質より量の対策が必須です。移動時間や待ち時間などの隙間時間を有効活用して学習しましょう。
回答時間を意識して答えてみよう
SPIは回答速度によって問題のレベルが変化し、制限時間も短いため、スピードが求められる出題形式となっています。
単に問題に正解するだけではなく、素早く解くことが求められます。時間をかけすぎると、制限時間内に解答できる問題数が少なくなり、全体の点数が低くなってしまいます。
ペーパーテストの場合は鉛筆も要チェック
ペーパーテスト形式で受験する場合は、筆記用具の準備も重要なポイントです。鉛筆の種類によっても書きやすさが変わるため、事前に自分に合ったものを用意しておきましょう。
ペーパーテストはマークシート形式になっています。マークの塗りつぶしに手間取らないよう事前に練習し、塗り間違いが起こらないよう落ち着いて受験することが大切です。


実際どんな問題が出る?SPIの問題に軽く触れてみよう
ここからは、SPIで実際にどんな問題が出るのか、例題を見ていきましょう。
以下で言語分野、非言語分野、英語分野で出題される問題の概要を例として紹介しますので参考にしてください。
言語分野
次の文章中の下線部「憂慮」と最も意味が近い語句を選びなさい。
「環境問題の深刻化について、多くの専門家が憂慮している。」
A) 心配 B) 期待 C) 関心 D) 軽視
問題2:文章理解
次の文章を読んで、筆者の主張として最も適切なものを選びなさい。
「読書は単なる娯楽ではない。本を読むことで語彙力が向上し、論理的思考力も鍛えられる。また、様々な価値観に触れることで視野も広がる。現代社会では情報収集の手段が多様化しているが、読書の重要性は変わらない。」
A) 読書は娯楽として楽しむべきである
B) 読書には多面的な教育効果がある
C) 現代では読書の必要性が薄れている
D) 情報収集は読書以外の方法が良い
解答:B) 読書には多面的な教育効果がある
非言語分野
赤玉3個、白玉2個が入った袋から、玉を2個同時に取り出す。このとき、2個とも赤玉である確率を求めなさい。
A、B、C、D、Eの5人が一列に並んでいる。次の条件を満たすとき、左から3番目にいるのは誰か。
・Aは左から2番目にいる
・BはCより右にいる
・DはEの隣にいる
・CはAより右にいる
英語分野
・次の文の空欄に入る最も適切な語を選びなさい。
“The new policy will have a significant _____ on our company’s future growth.”
次の文を正しい英文に直しなさい。


SPI対策本の選び方!どんなポイントがある?
ここからは、SPI対策本の選び方について解説します。
書店やネットではたくさんの種類の対策本が販売されていますが、以下の3つのポイントをおさえておくと自分に合った対策本が見つかりやすくなるでしょう。
受験形式によって選ぶこと
SPI対策本を選ぶときは、まず自分が受験する形式に対応しているかどうかを確認することが大切です。テストセンターやペーパーテスティングなどの形式によって出題形式や内容が若干変化する場合があるからです。
また、自宅で受験するWebテスティングのみ電卓が使用可能で、会場で受験する場合は電卓が使えないため、問題の内容も解答のコツも変わってきます。
最新のものを選ぶこと
SPIの出題内容や傾向は毎年必ずと言っていいほど変化するため、対策本も必ず最新版かどうかを確認することが重要です。
対策本のタイトルに「27卒・28卒」「2027年度版」などの年度が入っているものや、「最新版」といったワードが入っているものを探しましょう。インターネットで購入する場合は現物を見ることができないため、発売日などの情報をチェックするようにしてください。
自分に合った本を選ぶこと
SPI対策本には、解説重視のものから問題集中心のものなど、様々なタイプがあります。難易度についても、基本問題を中心に掲載しているものから高得点を目指す上級者向けのものまで様々です。自分のレベルに合わせて最適な本を選ぶことが大切です。
たとえば、SPIについて知識や勉強の経験がなく、どんな問題が出るのか全くわからない人は初心者向けの解説タイプがよいでしょう。例題ごとに詳しい解法や、問題をスムーズに解くコツなどが丁寧に説明されており、基礎から学ぶことができます。
一方で、すでにSPIの勉強をしたことがあり、ある程度基礎が身についている人は、過去の頻出問題を分析した問題集タイプを選ぶのがおすすめです。


おすすめのSPI対策本を3つ紹介!
たくさんの種類があるSPI対策本の中から、特に多くのサイトでおすすめされている人気の3冊を紹介します。
以下で特徴や対象のテスト形式などをまとめていますので対策本選びの参考にしてください。
①これが本当のSPI3だ!
表紙の色から通称「赤本」と呼ばれている定番のSPI対策本です。
テストセンター、ペーパーテスティング、Webテスティングの主要3方式すべてに対応しているため、この1冊でSPIの基礎をひととおり学ぶことができます。
使いやすさと解説のわかりやすさが特徴で、問題から解説、解答までが見開きで読めるように構成されており、数学や国語に長らく触れていなかった人でも理解できるよう、基礎から丁寧に解説されています。
②SPI3&テストセンター出るとこだけ! 完全対策 2027年度版
こちらは通称「青本」と呼ばれる人気の対策本で、テストセンター方式に特化した内容となり、頻出問題に絞った効率的な学習ができます。
テストセンター形式で特徴的な「長文の読み取り【計算】」の再現問題も掲載されています。問題の再現度が高く、「実際の問題に近い」と評判がよいため、繰り返し活用することでテスト本番に向けてしっかりとした対策ができるでしょう。
③2027年度版 SPI3の教科書 これさえあれば。
名称からも分かるとおり、幅広い形式に対応した総合的な対策本です。
テストセンター、Webテスティングなど4種類の実施形式すべてに対応し、実施形式ごとの受験フローや出題画面のイメージが丁寧に解説されていますので、本番のイメージを把握しやすくなります。
基礎能力検査や性格検査だけでなく、オプションの英語検査や構造的把握力検査にも対応していますので、この1冊で様々な企業のSPI対策をカバーすることができます。


コラム:SPI以外のテスト形式「玉手箱」って?
就活の適性検査において、SPIと並んでよく実施されるのが「玉手箱」です。日本エス・エイチ・エル(SHL社)が開発したテストで、自宅のパソコンを使ってインターネットで受験する形式です。
SPIにもWebテスティング形式がありますが、玉手箱も同様の「自宅受検型Webテスト」としてシェアが高いため、大手でもよく実施されています。
玉手箱の出題範囲をまとめると以下のようになっています。
科目名 | 内容 |
---|---|
言語 | 論理的読解 趣旨判定 |
計数 | 図表の読み取り 四則逆算 表の空欄推測 |
英語 | 長文読解 論理的読解力 |
性格検査 | 性格傾向 意欲 |
このように、SPIと出題範囲はよく似ているものの、SPIにはない問題も出題されます。また、SPIと比べて制限時間が短く、1問あたりにかけられる時間が短いという違いもあります。
まとめ
この記事では、SPIの実施方法や試験内容、対策本の選び方などを詳しく解説しました。
SPIは企業で働くうえで必要な基礎能力と人物像を総合的に評価する検査です。
多くの企業が導入しているますので、まずは志望する企業のテスト形式を把握したうえで早めに対策を始めましょう。
この記事で紹介した選び方も参考にしていただき、自分に合った問題集を見つけてください。
計画的に準備を行い、テスト本番で自信を持って実力を発揮できるようにしましょう。


ぜひこの記事でまとめたことを参考にしていただき、就活やSPI対策の成功につなげてください。