
国の後押しという背景もあることから、さまざまな企業ではIT化・DX化が進められています。このような状況下で、ITエンジニアとして働きたいと思う第二新卒者もいるでしょう。
しかしその一方で「第二新卒でITエンジニアへの転職は可能なのか」「ITエンジニアへの転職を成功させるにはどうすればいいのかわからない」といった不安・疑問を抱いている人も少なくありません。
本記事では、第二新卒でのITエンジニアの働き方について解説します。転職の難易度・メリット・向いている人の特徴・仕事内容なども含めて網羅的に紹介するので、ぜひ参考にしてください。
第二新卒でITエンジニアの転職は難易度が高いの?
第二新卒のなかには、IT化・DX化が盛んに進められている現状を考慮してITエンジニアへの転職を考える人もいるでしょう。しかし転職の難易度がどれくらいなのか、気になるところです。
このような点を踏まえて、第二新卒でのエンジニア転職の難易度を確認していきましょう。
IT業界は人手不足なため需要が高い
IT業界は人手不足なので、全体的な需要は高めです。
第二新卒の場合、IT関連の未経験者でも歓迎している企業も少なくありません。一般的な定義づけでの第二新卒は、社会人経験がありながら知識・情報の吸収力は新卒並みです。そのため、IT関連の知識・スキルが未経験であっても入社してから成長する可能性は大いにあります。
雇用する企業側はこのような面を考慮しているので、第二新卒の場合は未経験であっても需要が高めなのです。
新卒と比べて喜ばれることがある
IT業界では、新卒と比較して第二新卒のほうが喜ばれることがあります。その理由として、以下のような点があげられるでしょう。
- 基本的なビジネスマナーが身に着いている
- 社会人経験がある
- 入社後のミスマッチが少ない
第二新卒の最大の強みは、社会人経験がある点です。転職前に別の業界・企業にて社会人として勤務しているため、新卒に比べてビジネスに必要不可欠なマナー・スキルが身に着いています。
また一度就業経験があることから、自分の特性・興味・企業に求めるものなどの把握ができているでしょう。企業側も応募者の経験・退職理由などを深掘りして確認することで、ミスマッチのリスクが軽減できます。
ポテンシャルを評価してもらえる可能性がある
第二新卒は、ポテンシャルを評価してもらえる可能性があります。
IT企業が人手不足な点を解説した際、未経験者であっても歓迎されるケースについて触れました。その理由が、ポテンシャルの評価にあたります。
IT業界は全体的に人手不足であるため、多くの関連企業では即戦力となる人材を求めているのが現状です。しかし、スキル・知識が求めるレベルに達している人材はあまり多くありません。
そこで注目されているのが、第二新卒です。第二新卒は新卒のようなポテンシャルの高さを持っているため、未経験で入社しても学習意欲・柔軟性の高さから企業が求める人材へと急成長を遂げる可能性を秘めています。

第二新卒がITエンジニアに転職するメリット
第二新卒でITエンジニアに転職するメリットについて確認していきましょう。
ITの知識がつく
第二新卒でITエンジニアに転職するメリットとして、ITの知識が身に着く点があげられます。業務を通じて習得できるITの知識は、主に以下の通りです。
知識・スキル | 概要 | 例 |
基礎的なIT知識 | 職種に関係なく身に着けておくべき基本的なIT知識 | PC操作、ビジネスツール、ITリテラシー、論理的思考力、問題解決能力、情報収集力など |
ソフトウェア関連 | Webエンジニア、アプリケーションエンジニアに必要な知識 | プログラミング言語、フレームワーク、ライブラリ、データベース、Webアプリケーションの仕組み、バージョン管理システム、テストなど |
インフラ関連 | ネットワークエンジニア、サーバーエンジニア、クラウドエンジニアに必要な知識 | ネットワーク、サーバー、クラウド、セキュリティなど |
データ関連 | データサイエンティスト、データエンジニアに必要な知識 | 統計学・数学、データ処理および分析、機械学習、深層学習、ビッグデータ技術など |
どの分野のITエンジニアを目指すのかによって、獲得できる知識には違いがあります。
年収を上げることが期待できる
年収アップが期待できる点も、メリットのひとつといえるでしょう。職種別のIT系エンジニアの主な年収は、以下の通りです。
職種 | 平均年収 |
システムエンジニア | 752.6万円 |
データエンジニア | 628.9万円 |
AIエンジニア | 628.9万円 |
ソフトウェア開発(スマホアプリ) | 574.1万円 |
プログラマー | 574.1万円 |
(出典:job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
IT業界の企業は初任給も高めに設定されているケースが多いので、他業種よりも年収アップが期待できるでしょう。
柔軟な働き方ができる
柔軟な働き方ができる点も、ITエンジニアとして働くメリットとしてあげられます。
IT業界では、リモートワーク・フレックスタイムなどを導入している企業が少なくありません。一般企業のように決められた時間に就業先で働く形式を取っていないところが多く、働き方の選択が可能です。
例えばフルリモートが可能なIT企業の場合、自宅から雇用先まで離れていたとしても大きな問題にはならないでしょう。インターネットおよびパソコン周辺機器などの環境が整備されていれば、自宅で仕事ができます。
様々なキャリアパスを描くことができる
多種多様なキャリアパスが選択できる点も、ITエンジニアのメリットです。
ITエンジニアといっても職種はさまざまであり、年収を解説する際にいくつか触れました。どの職種を選択するかによって、必要とされるスキルには違いがあります。しかし、いずれかの職種を経験しておけば、ほかのITエンジニアの職種への応用が可能です。
例えば、第二新卒でプログラマーとして勤務したとしましょう。ここで経験を積んで知識・スキルの習得および向上した後は、データエンジニア・システムエンジニアへの転職ができます。この2つの職種はプログラマーと比較して報酬が高めに設定されているので、年収アップも期待できるでしょう。

第二新卒がITエンジニアに転職するデメリット
第二新卒がITエンジニアに転職する際のデメリットについても確認していきます。
日々勉強が必要となる
ITエンジニアとして転職した際には、日々の勉強が必要です。
IT関連の知識・スキル・情報は、日々進化し続けています。そのスピードはめまぐるしく、1カ月足らずでアップデートするケースも少なくありません。
例えばIT業界で幅広く活用されているプログラミング言語は、数年後には衰退している可能性が示唆されています。
どの業界・職種においても、知識・スキルのアップデートは必要です。しかしそのなかでもIT業界は、とびぬけてめまぐるしいといわざるを得ません。
研修が少ない可能性がある
研修が少ない可能性がある点も、デメリットといえるでしょう。
多くの企業では第二新卒であっても、企業の社風・方針などに慣れるといった目的も兼ねて一定の研修期間が設けられます。その期間に、実際の業務についても詳しく学ぶのです。
しかしIT業界の場合、第二新卒は即戦力として期待されることが多く、十分な研修を行わない企業も少なくありません。

ITエンジニアに向いている人の特徴
ITエンジニアに向いている人の特徴を紹介します。
情報の収集が得意な人
情報の収集が得意な人は、ITエンジニアがおすすめです。
ITエンジニアの業務では、以下のような部分で情報収集能力が求められます。
- 新しい技術の調査および導入
- トラブルシューティングや障害対応
- 設計・開発時の技術選定
- セキュリティ対策・脆弱性対応
- クライアントや関係者からのヒアリング・要件定義
ITエンジニアにとって情報収集は、技術的な知識・スキルの習得以上に必要とされる業務内容です。
日々の仕事をスムーズに進行させ、高品質なシステムサービスを提供・運用するために必要不可欠なスキルであることから、情報の収集が得意な人はITエンジニアに向いているといえるでしょう。
コミュニケーションに自信がある人
コミュニケーションに自信がある人も、ITエンジニアの素質があります。仕事上、さまざまな部署・顧客との連携が欠かせないからです。
主な業務 | 必要なコミュニケーション能力 |
要件定義・ヒアリング | 傾聴力、質問力、言語化能力、ファシリテーション能力、合意形成能力など |
設計・仕様説明 | 説明力、論理的思考力、フィードバックへの受容力など |
チーム連携 | 報連相、協調性、建設的なフィードバック、認識あわせ |
進捗報告・課題共有 | 簡潔に報告する能力、現状把握力、交渉力など |
トラブルシューティング・障害対応 | 状況共有、指示力、連携力など |
ベンダー・外部パートナーとの連携 | 交渉力、調整力、関係構築力など |
上記一覧のように、さまざまな業務でコミュニケーション能力が求められます。そのため、コミュニケーションに自信がある人は、ITエンジニアに向いているといえるでしょう。
効率化が好きな人
効率化が好きな人は、ITエンジニアに向いています。
ITエンジニアに効率化が求められる主な業務として、以下のようなものがあげられるでしょう。
主な業務 | 内容 |
開発プロセスの改善 | より少ない労力で高品質のアウトプット |
開発手法の改善 | ・手戻りの減少や変化適応力の向上 ・開発工数の削減 |
運用・保守業務 | ・手作業の削減 ・早期異常検知の仕組みの構築 |
情報収集・共有 | ・必要な情報に素早くアクセス ・あらゆる分野の最新情報を効率的にキャッチアップ |
ドキュメント作成 | ・自動生成化 ・テンプレート化 |
ツールの活用 | ショートカットキーなどを使用して無駄な作業を削減 |
効率化が好きな人は上記のような作業も難なくクリアできる可能性が高いので、ITエンジニアをおすすめします。

ITエンジニアの職業別の仕事内容について
ITエンジニアの職業別業務内容について紹介するので、参考にしてください。
システムエンジニア
システムエンジニアとは、ITシステム開発に必要な要望・情報をクライアントからヒアリングして形にする職種です。
ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアは、システムの設計・構築・運用・保守を行う専門職です。
ルーターやスイッチ、ファイアウォールなどの機器を使い、安定した通信環境の構築とトラブル対応、セキュリティ対策まで幅広く担当します。
サーバーエンジニア
サーバーエンジニアの仕事は、企業システムの基盤となるサーバーの設計・構築・運用・保守を行うことです。
OSの導入・設定やミドルウェアの構築、障害対応、セキュリティ対策などを通じて、サーバーの安定稼動と効率的な運用を支えます。
データベースエンジニア
データベースエンジニアは、企業が扱う大量のデータを効率的かつ安全に管理するためのデータベースシステムを専門とするエンジニアです。
データベースの設計からセキュリティ管理まで一貫して担当し、データの可用性と整合性を確保します。
プログラマー
プログラマーは、システムエンジニアが設計した仕様書をもとに実際に動くシステムやソフトウェアを開発する専門職です。
プログラミング言語を用いたコードの記述だけでなく、テスト・デバッグ・既存プログラムの改修なども担当します。

第二新卒がITエンジニアに転職する時に必要なスキル
第二新卒がITエンジニアに転職する際に必要とされるスキルを紹介するので、参考にしてください。
基本的なビジネスマナー
基本的なビジネスマナーは、習得しておいてください。第二新卒は新卒とは異なり、一定の社会人経験があるからです。
新卒の場合は社会人経験がないため、基本的なビジネスマナーを身に着けるための研修が行われます。
ITの基礎知識
ITの基礎知識も、転職前に習得しておくべきスキルです。
IT業界での第二新卒は即戦力となる人材を求めており、ITの基礎知識を学ぶ研修を実施しない企業もあります。仮に研修が行われたとしても新卒向けのように内容が充実しておらず、短期間で実務に移行するケースも少なくありません。
事前にITの基礎知識を身に着けておけば、研修および実務で学ぶ知識・スキルの素早い習得・向上が期待できるでしょう。
論理的思考力
ITエンジニアには、複雑なシステムの問題を分析して最適な解決策を導き出すために論理的思考力が不可欠です。
また、クライアントのなかにはITの知識がないことも少なくありません。そのような場合でも、筋道を立ててわかりやすく説明する必要があります。その際にも論理的思考力が必要とされるため、意識して身に着ける努力をしましょう。
プログラミング能力
プログラミング言語は、必須スキルではありません。しかし事前に習得しておけば、研修・実務でスムーズな作業が可能になるでしょう。
Java
Javaは、世界中で広く利用されている汎用プログラミング言語です。
「一度書けば、どこでも動く」という特徴を持ち、WebシステムからAndroidアプリ、組み込みシステムまで多岐にわたる開発に活用されています。
Python
Pythonは、シンプルで読みやすいコードが特徴の汎用プログラミング言語です。AI・機械学習、データ分析、Web開発、自動化スクリプトなど幅広い分野で活用されています。
JavaScript
JavaScriptは、Webサイトに動きを加える際に不可欠なプログラミング言語です。ブラウザ上で動作し、フォームの入力チェック、アニメーション表示、動的なコンテンツ更新などを実現します。
近年はサーバーサイド(Node.js)やアプリ開発にも利用範囲を広げており、注目度の高い言語といえるでしょう。

第二新卒のITエンジニアの就職のコツ
第二新卒で、ITエンジニアとして就職するコツについて紹介します。
ITエンジニアに向いているか確かめる
ITエンジニアに向いているか、確かめてみることが重要です。
ITエンジニアはさまざまな年代に人気の高い職種ではありますが、誰にでも向いているわけではありません。ITという特殊な業界であるため、専門的な知識・スキルの習得が必要不可欠です。しかし習得や理解に向き不向きがあり、向いていない場合は転職後に苦労を強いられることになるでしょう。
IT業界は慢性的な人材不足に陥っていることから、第二新卒なら未経験でも就職可能なケースも少なくありません。しかし、転職後に「自分にはITの仕事が合わなかった」と気づいてしまうと、再度転職を考えなければならないケースもあります。
転職先の企業をしっかり調べる
転職先の企業研究も、重要なコツのひとつとしてあげられます。
IT業界関連だからといって、すべての企業の業務内容・条件は同一ではありません。
例えば、勤務形態を取り上げてみましょう。フルリモートが可能な企業もあれば、出勤を基本スタイルとしているところもあります。通勤時間を減らしたくてIT業界に飛び込んだ場合、出勤スタイルが基本の企業に転職してしまうと、通勤時間をなくしたいという目的が果たせなくなってしまいます。
転職前にITの基礎知識を身に着ける
転職前にITの基礎知識を習得しておくことも、おすすめです。
ITの基礎知識を事前に習得しておけば、入社後に役立つだけでなく、就職活動でもアピール材料になります。
知識は入社後にも大いに役に立ちますが、その前に入社できなければ意味がありません。採用という第一難関を突破するためにも、転職前にITの基礎知識は習得しておいたほうがよいでしょう。
ポイント
- 適性を十分に見極める
- 企業研究を徹底的に行う
- 事前にITの基礎知識を習得する

第二新卒がITエンジニアへ転職した際の失敗パターン
第二新卒がITエンジニアに転職した際の失敗パターンを紹介します。
転職先がブラック企業だった
転職先がブラック企業だったというパターンは、決して珍しいことではありません。多くのIT関連企業は長時間労働になりがちだからです。
ITエンジニアには、クライアントファーストの一面があります。例えば夜中にシステムエラーが生じた場合、素早い原因解明と解消が求められます。1秒でも早く元の状態にシステムを戻さなければならないため、残業・休日出勤を余儀なくされるケースも少なくありません。
ITエンジニアに適性がなかった
ITエンジニアに適性がなかった場合も、転職後に多い失敗例のひとつです。
IT人材の適性の有無は、事前の学習である程度の確認が可能です。書籍などで学習してスムーズに理解できるかチェックしてみてください。
ITエンジニアのやりがい
ITエンジニアの主なやりがいは、以下の通りです。
- 課題解決の達成
- 技術力の成長
- チームでの協働
- 社会貢献
- モノづくりの楽しさ
- ユーザーの喜び
またITエンジニアといえども、1プロジェクトを完遂するためには複数人のメンバーと協力しなければなりません。苦労を重ねながら協力し合って完遂できた際の達成感・喜びはひとしおでしょう。

まとめ
第二新卒でのITエンジニアの転職事情について解説しました。
IT業界は人材不足を補うため、第二新卒を積極的に採用しています。ただし、基礎知識がある程度なければ入社後に苦労する可能性が高いでしょう。
本記事で紹介した向いている人・仕事内容・必要なスキルなどを参考にして、ITエンジニアに挑戦してみてください。
